米Texas Instruments社(TI社)は,米National Semiconductor社(NS社)を65億米ドルで買収すると発表した(Tech-On!の関連記事)。両社は米国時間の4月4日に、業界アナリスト向けの電話会議を開催し、買収に関して言及した。

 TI社 Chairman兼President、CEOのRich Templeton氏は、「弊社とNS社が手掛けているアナログ製品群が重複する分野は少ない。NS社の製品群を追加することで、我々は今後、アナログ市場全体の成長率を上回る成長を実現できる」と期待を述べた。TI社は買収金額である65億米ドルを、すべて現金で支払う予定。このため買収完了までに、今後30億~40億米ドルを借り入れる可能性があるという。TI社は、保有する3つのアナログ製品群にNS社の製品群を「第4の製品群」として加える。NS社の買収が完了するのは、2011年10月~2012年1月の間になると予測している。

 NS社、CEOのDon Macleod氏は「買収に関しては、当社からアプローチしたわけではなく、TI社からアプローチされた。両社は互いに補足できる関係にあるため、両社で合意した」としている。NS社のアナログ製品群は、比較的に高い電力を要求する業務用途装置の市場で強みがあるとしており、TI社のアナログ製品群は、比較的低い電力を要求する端末市場に向いている、という。

 今回の買収で、技術者の人数や半導体製造の能力を減らす予定はない。TI社は、本社機能の統合などにより、約1億米ドルを節約できる可能性があると指摘する。今後、National Semiconductor社の新たなアナログ半導体製品を、TI社の米テキサス州のアナログ半導体の工場を利用して製造する可能性もあるという。