図●直流モータ用ブラシ(JR西日本の発表資料から)
図●直流モータ用ブラシ(JR西日本の発表資料から)
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 JR西日本は2011年3月23日、電車の運転に不可欠な保守部品である直流モータ用ブラシの調達が難しくなったとして、列車の運行両数の削減を検討していると発表した(ニュースリリース)。直流モータ用ブラシは日立化成工業製で、素材を茨城県日立市、最終製品を福島県・浪江町で製造しているもの。JR西日本の在来線電車4700両中、直流モータを使用している車両2300両に影響が出るという。ブラシは、ロータに付いている整流子に接触しながら電流を供給する部品(図)。

 運行の削減を実施するのは4月上旬から。特急列車では、「こうのとり」「きのさき」「はしだて」「くろしお」「スーパーくろしお」「やくも」について、一部列車の編成を短くしたり、臨時列車の運転を取りやめたりする。普通列車では、一部線区を除いて昼間を中心に運転本数を50%から95%にする。対象となる車両は、特急用電車が183系と381系、普通列車用の電車が直流区間用の103、105、113、117、205、213、221系と直流・交流区間両用の413、415、475系など。

 最近の新型電車は、保守工数の削減や省エネルギを目的に交流モータをインバータによって駆動する方式が主流だが、JR西日本には旧国鉄から引き継いだ車両が多く在籍している。これらの車両や、分割民営化直後に設計製造した車両は直流モータを駆動に用いており、交流区間用の車両も架線から受けた交流を直流に整流して直流モータを動かしている。