東芝は、同社セミコンダクター社のウェブサイトを通じて、東日本巨大地震による半導体関連の生産拠点の被害について、2011年3月17日午前10時時点の状況を発表した(ニュース・リリース)。建屋やインフラ、製造装置などに大きな被害を受けた岩手東芝エレクトロニクス(岩手県北上市)では、被災直後から操業を停止しており,被害状況を確認中である。建屋の排気ダクトが破損するなどした東芝コンポーネンツ(千葉県の君津市と茂原市)は、3月20日の週から逐次、稼働を再開する予定である。

 被災した生産拠点の3月17日午前10時時点の状況は、下記の通りである。なお同社は今後、「部材や装置関連の調達先の被害の深刻度が明らかになるにつれて、下記工場以外の製品にも広範な影響が懸念される」としている。現在、調達先の状況やその影響を精査中であるという。

●岩手東芝エレクトロニクス(岩手県北上市)

 3月11日の地震発生時、北上市では震度5強の揺れを観測した。人的被害こそなかったものの、製造装置や建屋のほか、工業用水やガスなどのインフラに、大きな被害を受けた。

製造装置
震災後、全装置を停止中である。一部に位置ズレを生じた。現在、被害状況の確認を続けている。

建屋
建屋は倒壊などの大きな被害はなかったものの、各所で天井や壁、エアコンなどが損傷した。現在、修理中だが、復旧には当面の時間を要するという。クリーンルーム内の状況は、引き続き調査中である。

インフラやシステム関連
地震発生後に停電したが、3月13日から送電の一部が回復している。工業用水は一部受給可能な状態となっているが、ガスは依然として調達が困難という。生産管理システムは停止しており、再稼動は3月22日ごろの見通しとする。

在庫や製品出荷の状況
工場在庫については状況確認中で、3月20日の週から在庫の一部出荷を開始予定である。ただし、燃料確保を含む輸送手段の確保が困難な状況にあるという。

●東芝コンポーネンツ(千葉県の君津市と茂原市)

 3月11日の地震発生時、君津市と茂原市では震度4.7~4.9の揺れを観測した。人的被害はなく、建屋にも大きな損壊はなかったが、屋外排気ダクトや壁などの一部が破損した。建屋や動力関連については、3月21日をメドに暫定的に復旧する見込みという。製造装置については、被災後に全装置を停止しており、状況を確認中である。インフラについては既に復旧しているが、電力についてはこの拠点が計画停電の対象(グループ1)となっている。このため、3月20日の週から逐次、装置の稼働を再開する予定だが、計画停電の影響で遅れる可能性があるという。

●四日市工場(三重県四日市市)

 3月11日の地震発生時、一部の製造装置が停止したが、すぐに復旧し、3月17日午前10時時点で通常の稼働状態に戻っている。ただし、短期的には物流面で、中期的には部材調達を含むサプライチェーン全体での影響が懸念されるという。なお、同拠点は3月15日夜に発生した静岡県東部地震の際にも、震度3の揺れを受けて一部の製造装置が停止した(関連リリース)。このときには、3月16日午前7時時点でほぼ復旧した。