テクノアソシエーツは、電気自動車(EV)の動向を踏まえた蓄電池の市場、コスト、技術に関連する10の論点を抽出、2015年までに起こる蓄電池業界のトレンドを予測した。そこからは、各メーカーのグローバル競争の行方が予想できるだけでなく、蓄電池産業で今後取り組むべき様々な課題が見えてくる。
- (1)世界の電池メジャーは8社に絞られる
- (2)電池の低コスト化はEVが牽引する
- (3)電池のコスト競争力は規模、材料、構造で決まる
- (4)中国の電池メーカーは世界を席捲しない
- (5)Fe系電池はマイナーな存在になる
- (6)BMS(battery management system)は企業間で技術的な差がなくなる
- (7)汎用の「18650」は大型電池で主流にならない
- (8)定置型電池はEV向けの転用がメインになる
- (9)電池生産は一極集中型から地産地消型へ
- (10)政府の支援策が電池の市場成長を促す
顧客は自動車メーカーへ
(1)(3)からは、電池メーカーがグローバル競争で勝ち残るための条件が明らかとなる。電池メーカーにとって特に重要なのが顧客を獲得するための“営業力”であり、それが生産規模を拡大し、コスト競争力につながる。顧客となる相手は、かつては電子機器メーカーだったのが自動車メーカーに変わり、ニーズや文化が従来とは大きく異なる。その違いにいち早く対応し、自動車メーカーと密接な関係ができたところが勝者となる権利を得る。
(2)(6)(7)(8)から分かることは、もはや大型電池のコスト・リーダーは自動車用電池ということである。汎用の「18650型」も従来を上回るペースでコストダウンをしていかないと自動車用電池には勝てない。また、定置用に特化した専用の大型電池を製品投入する場合、特別な差異化要因を見いだして自動車用電池との真っ向勝負を避ける以外、市場に残る要素はあまりない。
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