今回の開発品(左)と同社従来品(右,白色LEDバックライト搭載)。いずれも46型
今回の開発品(左)と同社従来品(右,白色LEDバックライト搭載)。いずれも46型
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色再現範囲は同社従来品比で1.3倍に
色再現範囲は同社従来品比で1.3倍に
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赤色レーザとシアンLEDを採用
赤色レーザとシアンLEDを採用
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赤色レーザは638nm
赤色レーザは638nm
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 三菱電機は,バックライト光源の一部に半導体レーザを用いた液晶テレビ「レーザーバックライト液晶テレビ」を開発,46型の試作品を披露した。赤色の半導体レーザ,シアン色のLED,という2種類の光源でバックライトを構成する。バックライト光源に白色LEDを用いる現行の同社の液晶テレビに比べ,色再現範囲は約1.3倍と広い。NTSC規格比では約126%である。「特に赤色の鮮やかさが大幅に向上した」(同社)とする。

 三菱電機は,RGB3色のレーザ光源を用いた背面投射型プロジェクターを既に製品化している(Tech-On!関連記事)。今回の液晶テレビにおいて,赤色だけレーザ光源を用いたのは,「実用化を意識してコストを考慮し,レーザ光源を使って最も効果がある1色が赤色だった」(同社)ためである。なお,レーザは三菱電機製。発光波長は638nmである。

 赤色をレーザ光源にしたため,残りの緑色と青色については,その混合色であるシアン色のLEDを用いた。「緑色と青色を別々のLEDにすると,ムラが出やすい」(三菱電機)ため,1チップにしたという。シアン色のLEDは,今回の液晶テレビに向けて発注したカスタム品とする。

 試作した46型の液晶テレビのバックライトは,エッジ・ライト型。赤色レーザは数十個,シアン色LEDは数百個搭載しているという。レーザとLEDでは発散角が異なる課題があるため,両者の光を均一に混合させるための光学系を開発した。これにより,色ムラなどの発生を抑えたとする。

 画面の明るさやコントラスト比,消費電力といった仕様は,従来の白色LEDバックライトを搭載する同社の液晶テレビと「ほとんど変わらない」(同社)。

 この液晶テレビは,2011年度中の製品化を目指すという。まずは,国内市場で先行して販売する見通しである。

日経エレクトロニクス2011年2月21日号では解説記事「色のリアリティーで商機をつかめ」を掲載予定です。