米Adobe Systems Inc.は,Flashコンテンツを再生するソフトウエア「Flash Player」の最新バージョン「10.2」を公開した。Flash対応の動画を半導体の専用グラフィックス回路で処理する機能を備える点が最大の特徴である。スペイン・バルセロナで2011年2月14日から開催される「Mobile World Congress 2011(MWC)」とともに,同社は米サンフランシスコで報道機関向けのイベントを開催した。
Adobe社は,この新しい機能を「Stage Video」と呼んでいる。従来のFlash Playerでは,動画処理を主に汎用のマイクロプロセサに担当させていたという。このため,例えば1080pの動画処理は,マイクロプロセサやソフトウエアの環境による制限があった。Stage Videoの場合,動画処理は端末が搭載するSoCなどにおけるグラフィックス処理専用ハードウエアが担当する。「この新しい機能により,WindowsおよびMac OSのノート・パソコンでは1080pの画像処理に関連する汎用マイクロプロセサやメモリの利用を80%減らせる」(同社)。この結果,Stage Videoでは,1080pの動画のフレーム・レートなどの画質が改善されるとする。携帯端末の場合,消費電力の低減につながるという。
現在,Flash Player 10.2はWindowsやMac OS,Linux,Solaris,Google TVに対応している。Androidの次世代バージョン「Android 3.0」(Tech-On!関連記事)やカナダResearch In Motion Ltd.(RIM社)のタブレット端末向けOS「BlackBerry Tablet OS」にも対応する予定である。
Androidの「AIR」対応のアプリケーションを強調
イベントで,Adobe社はAndroid端末上で動作する同社のアプリケーション実行環境「AIR」も強調した。同社は電子雑誌などの電子出版専用のソフトウエア「Digital Publishing Suite」の中で,以前,iPad対応の電子出版物を表示するAIR対応の「Content Viewer」を発表した。今回のMWCに併せて,同社はAndroid 2.2および3.0対応の「Content Viewer for Android」のベータ版を公開した。