米Google Inc.は,同社のWebブラウザー「Chrome」でのH.264のサポートを,数カ月後に取りやめる。同社のChrome関連の公式ブログで,米国時間の2011年1月11日にProduct ManagerのMike Jazayeri氏が明らかにした(ブログ記事)。

 Google社は,「オープンなWebの理念に基づいて開発,ライセンスされる技術に投資を集中する」と説明し,Chromeが「video」タグで対応する動画コーデックからH.264を外すことを表明した。「VP8」と「Theora」への対応は継続し,将来的には他のオープンな動画コーデックへの対応も随時検討する。

 Google社は2010年5月に,同社が買収したOn2 Technologies, Inc.の動画コーデックであるVP8をオープンソース化し,VP8を使う動画フォーマット「WebM」をロイヤルティーなしで利用可能にした(Tech-On!の関連記事)。H.264を非対応にするという今回の発表は,Web用の動画フォーマットとしてWebMの採用を働きかける狙いがあるとみられる。

 Google社は今回の発表の背景として,VP8のオープンソース化後に数十の開発者からの貢献によってVP8のデコード用ライブラリの処理性能や品質が向上したこと(WebMプロジェクトの関連ページ),WebMのサポートを表明するWebブラウザーやハードウエアが増加したこと(WebMプロジェクトを支援する企業・団体の一覧)などを挙げている。