図1 ソニーはホーム・ゲートウエイとして機能するLiイオン2次電池を開発
図1 ソニーはホーム・ゲートウエイとして機能するLiイオン2次電池を開発
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 ソニーは,住宅内のエネルギーなどを管理する「HEMS(home energy management systems)」に向けて,自社のLiイオン2次電池に通信機能や電力変換機能などを搭載した「Energy Storage Server」と呼ぶ装置を開発した(図1)。家電機器への電力供給や,機器間で通信する際のゲートウエイとして機能する。「リビングルームに1台置けば,テレビやオーディオ機器への電力供給に加えて,これらとクラウドを介したさまざまなサービスが実現できる」(ソニー)という。2011年に実証実験などを実施し,2012年ごろの商用化を目指す。「2011 International CES」の会場において,開発品のデモンストレーションを行った。

 デモでは,開発品と,照明とテレビの間で連携してみせた。照明の電力消費量をテレビ画面に表示することに加えて,開発品からテレビに直流で電力を供給する。開発品には,100Vで100Wに対応した日本の住宅向けの電源コンセントが備えてある。また,会場では3台の開発品を並べて設置した。装置間で電力を融通できるという。例えばある装置の電力量が減れば,他の装置から充電する。「複数の部屋に1台ずつ置いた場合に効率的に電力を活用する」(ソニー)ことを狙った。さらに充電の有無を外から見分けるため,開発品にあるソニーのロゴの色が変わる機能を搭載した。放電中は白色に,充電時などの放電していない際には青色に変化する。今回のデモでは見せなかったが,太陽電池による電力を制御するパワー・コンディショナも搭載してあるとする。

 Liイオン2次電池は,ソニーが2010年に発表した正極材にリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を使ったもの(Tech-On!関連記事)。容量は1.2kWh。これは,「1台でリビングルーム内の電力をほぼ1日分まかなうことと,装置の大きさが据置型パソコン程度にできること」(ソニー)などを重視して決めた。

 通信機能としては,近距離無線の「ZigBee」や「Bluetooth」,無線LANおよび,有線の「Ethernet」を搭載した。複数を備えたのは,「実証実験でどの通信が最適なのか見極めることと,世界で混在するHEMS向けの無線通信規格の動向に対応する」(ソニー)ためである。また,開発品は二つのCPUを備え,それぞれに異なるOSを搭載する。一つは伊仏合弁STmicroelectronics社製の「STM32」で,OSとして「μITRON」を搭載する。これで通信機能を管理する。もう一つは,米Freescale Semicoductor社のCPU「i.MXシリーズ」が搭載されたアットマークテクノ社製の組み込み機器用CPUボード「Armadillo」で,Linux系のOSを備える。Armadilloには。これで電力制御などを含む全体の管理を実行する。

■変更履歴
当初,「Armadillo」を「Freescale Semicoductor社製」としていましたが,正しくは「米Freescale Semicoductor社のCPU「i.MXシリーズ」が搭載されたアットマークテクノ社製」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。