NECが開発した「Cloud Communicator LT-W」
NECが開発した「Cloud Communicator LT-W」
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Lenovo社が開発した「IdeaPad U1 hybrid with LePad Slate」
Lenovo社が開発した「IdeaPad U1 hybrid with LePad Slate」
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タブレット端末を分離して使っているところ
タブレット端末を分離して使っているところ
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 「あっちにもこっちにも,タブレット端末」。今回のCESでは,数多くの企業がAndroidなどを搭載したタブレット端末を出展する。

 まさにタブレット端末が花盛りと言ったところだが,正直,どの端末も似通っているという印象は拭えない。外観に工夫の余地が少ない上,コンテンツを消費するためのデバイスという特性上,機能的にも似てしまうからだ。そんな中,他社にはない特徴を打ち出した個性派のタブレット端末を,NECとLenovo Group(聯想集団)が開発した。

 NECが出展するのは,2画面を搭載したAndroid 2.1ベースのタブレット端末「Cloud Communicator LT-W」。画素数が800×600の7型液晶パネルを2枚搭載し,本のように開いて使う。「本,雑誌,マンガといった電子書籍,メモ書き,教育向けアプリケーションなど2画面だと便利な用途向けに開発した」(NEC)という。例えば,英語教育のアプリケーションとして,左の画面で外人講師が話す映像を再生し,右の画面でその原稿を表示するデモを紹介している。

 Androidは現状,マルチ画面の表示を標準でサポートしていない。そこでNECは,マルチ画面への対応や左右の画面の連携機能などを独自に拡張した。今後,外部の開発者が2画面が連携するアプリを書けるように,APIを公開する予定としている。

 LT-Wの主な仕様は以下の通り。プロセサは,コアに英ARM社のCortex-A8を採用した米Texas Instruments Inc.の「OMAP 3」(動作周波数は1GHz)。タッチパネルは抵抗膜式を採用した。通常,抵抗膜式は静電容量式と比較して反応速度が遅いという問題があるが,「チューニングによって反応速度を大幅に改善した」(NEC)という。通信機能はWiFi,Bluetoothを標準で搭載し,オプションで3Gにも対応する。バッテリーの持続時間は5時間。重さは530gである。

なお,今回の展示は技術デモであり,製品化は現在未定としている。

 一方,Lenovo社が開発したのは,Windows 7を搭載したパソコンとAndroidベースのタブレット端末を合体した「IdeaPad U1 hybrid with LePad Slate」である。

 U1の見た目は通常のパソコンのようだが,ディスプレイ部はAndroid 2.2をベースにしたタブレット端末で,取り外して独立して使える。タブレット端末は米Qualcomm Inc.のSoC「Snapdragon」(動作周波数1.2GHz版)を搭載する。同端末をパソコン部に取り付けるとSnapdragonがスリープ・モードに遷移し,単なるディスプレイとして機能する。

 タブレット端末のディスプレイは10.1型で16GバイトのSSDを内蔵する。重さは700g。パソコン部を合計した総重量は1.7kgである。パソコン部が搭載するCPUは,米Intel Corp.製の「CULV(Comsumer Ultra Low Voltage)」と呼ばれる超低電圧版プロセサである。320GバイトのHDDも備える。

 また,タブレット端末に保存した写真やビデオなどのコンテンツをパソコンで共有したり,パソコンのHDDに移動したりするWindowsソフトウエアをプリインストールしている。

 Lenovo社は,U1を中国で2011年第1四半期に発売する。価格はタブレット端末のみが3499元(1元=12.6円),パソコン部を含む全体で8888元という。なお,米国市場には2011年後半に投入する予定という。