蛍光灯の代替を目指すLED照明
蛍光灯の代替を目指すLED照明
[画像のクリックで拡大表示]

 2010年6月に開設したテーマサイト「エネルギー」の記事ランキングのベスト10のうち,ランキング1位は「東芝ライテックやパナソニック・グループ,ついに直管形LEDランプを年内製品化へ」だった。同じくLED照明関連の記事が6位と9位に入っており,やはりLED照明が読者の注目を集めたことが分かる。LED照明に関する記事は製品化や実用化といったビジネスに直結する話題が中心だった。その一方,やや奇抜な技術や将来技術に関する記事も読者の強い関心を集めた。キーワードは,「乾電池方の振動発電機」「第4世代太陽電池」「ワインで超電導」などである。将来技術に関する記事が五つランクインし,トップ10の半分を占めた。

▼ 2010年「エネルギー」記事ランキング

順位記事タイトル日付
1東芝ライテックやパナソニック・グループ,ついに直管形LEDランプを年内製品化へ10/19
2乾電池型の小型振動発電機,ブラザー工業が開発7/16
3パナソニックもいよいよ加盟,ワイヤレス給電の業界団体「WPC」7/2
4ノルウェーの企業と英大学,「第4世代太陽電池の原理確認」8/10
5ワインで超電導? 物質・材料研究機構が大真面目で発表した理由7/28
6シャープ,住宅の主照明向けLED照明器具を発表,最大12畳間の機種を用意8/19
7「超伝導と磁性の相性は悪くない」,IBMなどが超伝導体へのスピン注入を実証6/7
8シャープが明かした,サスティナブル社会に向けた技術開発6/1
9【テクノフロンティア】電解コンデンサ・レスのLED照明電源,村田製作所が展示7/22
10MITが「使ってもなくならない燃料」の原理を解明,太陽熱電池開発に道10/26

(集計期間:2010年1月1日~12月12日)

 LED関連では,1位の「東芝ライテックやパナソニック・グループ,ついに直管形LEDランプを年内製品化へ」に加え,6位の「シャープ,住宅の主照明向けLED照明器具を発表,最大12畳間の機種を用意」と,9位の「【テクノフロンティア】電解コンデンサ・レスのLED照明電源,村田製作所が展示」がトップ10にランクインした。いずれもオフィスや家庭の主照明をLEDランプで置き換えていくことを目指した内容である。2009年にLED電球市場が急拡大したことを受け,2010年は主照明のLED置き換えが焦点になった。その中で,大手LEDメーカーがいよいよ直管形蛍光灯のLED置き換えに取り組み出している。

 やや奇抜な技術や将来技術に関しては,多種多様なアイディアなどが登場した。ランキング2位の「乾電池型の小型振動発電機,ブラザー工業が開発」は,技術者としての観点ばかりではなく,ユーザーとしての観点からも読者の興味を引いた。「任天堂の『wii』のコントローラ用に使いたい」「リモコンに使いたい」など,具体的なコメントが読者から寄せられた。また,この記事はTech-On!の英語版サイト「Tech-On!English」にも掲載(当該記事)され,ほぼ1カ月にわたって海外読者から高い人気を得続けた。

 4位の「ノルウェーの企業と英大学,『第4世代太陽電池の原理確認』」,5位の「ワインで超電導? 物質・材料研究機構が大真面目で発表した理由」,7位の「『超伝導と磁性の相性は悪くない』,IBMなどが超伝導体へのスピン注入を実証」,10位の「MITが『使ってもなくならない燃料』の原理を解明,太陽熱電池開発に道」は,いずれも大学や研究機関が関与した将来技術である。原理の確認・解明や,それすらも分かっていないが新たな現象を発見したといった内容だった。読者である技術者が新しい技術に強い関心を持っていることを如実に示している。このような新技術に感化された技術者が,さらに新しい技術を生み出すといったサイクルが生まれることを期待したい。

 このほかでは,3位の「パナソニックもいよいよ加盟,ワイヤレス給電の業界団体「WPC」」と,8位の「シャープが明かした,サスティナブル社会に向けた技術開発がランクインした。前者は,パナソニックが,ワイヤレス給電の業界団体であるWireless Power Consortium(WPC)に加盟したを報じた記事である。WPCはワイヤレス給電の標準化を推進している団体であり,2010年4月にスマートフォンやデジタル・カメラなど出力5W以下の機器に向けた伝送仕様の正式版を発行したところだった。後者は,シャープ 取締役 専務執行役員 技術担当 兼 知的財産権本部長の太田賢司氏が,「SEMI Forum Japan 2010」(5月31日~6月1日,大阪国際会議場)において,「サスティナブル社会に向けた新たな技術開発」と題して講演した内容を報じている。この中で,同社の今後の技術開発テーマとして「エネルギー・マネジメントと高齢化社会への対応」を挙げている。