電力線経由で電力を計測する測定器「EG-001(仮名)」
電力線経由で電力を計測する測定器「EG-001(仮名)」
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管理画面の例
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代表取締役社長の水谷幹男氏
代表取締役社長の水谷幹男氏
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 Egretcomは,電力線通信経由で機器の消費電力を計測する測定器を開発,2011年1月をメドに発売する。冷蔵庫やエアコンなど家電機器や,オフィスのOA機器,コンビニエンス・ストアの設備機器など,各種の機器の消費電力量を測定し,パソコン画面上で専用アプリケーション・ソフトウエアを使って管理できる。CO2排出削減に迫られている事業所やコンビニエンス・ストア,工場などの管理者に向け,消費電力量管理用途での採用を目指す。

 開発した電力測定器は,HD-PLC方式の電力線通信モジュールと,電力量計を内蔵する。エアコンや冷蔵庫など,測定対象となる機器の電源コンセントを電力測定器に接続することにより,消費電力量を測定し,電力線通信経由でデータを送る。利用する周波数範囲は2~30MHzで,WaveletOFDM方式でデータを送受信する。電力測定器には,ネットワーク全体を管理するマスター役のデバイスと,ターミナル役のデバイスがある。マスター役のデバイスがデータを集計し,パソコンなどのホストに情報を提供する。1台のマスターに,最大15台のターミナルを接続して管理できる。なお,電力測定器は,マスター役とターミナル役の両機能を備えており,切り替えスイッチで役割をどちらかに変えることができる。

 定格測定電力はAC100Vで,15A(最大1500W)に対応する。200V系機器の場合には,オプションの電流プローブを使って対応する。RS-232CとEthernet端子を備える。集計データを管理するソフトウエアは自社で提供するほか,APIを公開するなどの手法によって他のソフトウエア・ベンダーとの協業も想定する。電力管理コンサルティングなどを行う事業者との協業も,今後積極的に進めていきたいという。

 Egretcomは,松下電送機器やパナソニック コミュニケーションズで長年FAXモデムの開発に携わった水谷幹男氏が福岡県福岡市に立ち上げたベンチャー企業(同社のwebページ)。水谷氏は高速電力線通信協議会の理事長を務めるなど,電力線通信の規格策定などにも主導的に関わってきた。電力線通信関連などのノウハウを武器に,事業領域拡大を狙っている。