中国China Mobile社と仏Alcatel-Lucent社は中国・香港で開催中の「Mobile Asia Congress」(会期:2010年11月17日~18日)において,LTEを使ってネットワークに接続される「Connected Car」をそれぞれが展示している。いずれも,今後のサービス像を示すためのコンセプト・モデルで商用時期は未定である。
China Mobile社が展示したのは,独Volkswagenの「Golf Touran」を改造した車両(図1,図2,図3)。通信にはTD-LTEを利用する。上海万博会場で実験していたものだという。一方,Alcatel Lucentは,車を模した展示物を用意した。こちらは現在,米Toyota Moter Sales USAなどと米国で取り組んでいる試験車両がベースとなっている。
どちらの展示もLTEに携帯電話機以外の新しいデバイスをつなげることを目指した,Alcatel-Lucent主導の取り組み「n・g Connect Program」の一環として開発された。そのため,搭載されるサービスの基本機能もほぼ同じ。ネットワーク上のサーバーと連携したカーナビや音楽ダウンロード,VoD,自動車の状態を診断するサービスなどが利用できる(図4)。車の状態の診断とは,例えば車載端末が車載のセンサを収集するとともに,サーバーから過去のメンテナンス情報を引き出し,これらを合わせて現在の車の状態を示す(図5)。Alcatel-Lucentのブースではブレーキパッドが磨耗していたり,エア・フィルターを長い間交換していない場合に警告を出したり,その画面から販売店でのメンテナンスの予約ができたりするデモを見せた(図6)。「サーバー側で自動車のさまざまな情報を集めて解析することで,革新的なサービスが生まれるのではないかと期待している」(説明員)という。
また,Alcatel-Lucentデモでは,米Apple社の「App Store」のような車載サービス用のアプリケーション・ストアの機能が搭載されていた。自動車に適したアプリケーション・ソフトウエアをサードパーティが作成し簡単に配信できるようにすることで,車載アプリ市場を活性化するのが狙いだという。例えば,自動車と家庭の家電を連携させるアプリなどが考えられる(図7)。