講演するHTCのChou氏
講演するHTCのChou氏
[画像のクリックで拡大表示]

 台湾HTC Corp. CEOのPeter Chou氏は2010年11月17日,中国・香港で開催中の「Mobile Asia Congress 2010」(会期:2010年11月17日~18日)の基調講演に登壇し,今後のスマートフォンについて語った(図1)。

 同氏は,スマートフォンに代表されるモバイルのインターネット・サービスが従来のパソコン向けのサービスとは異なると指摘。モバイル向けはもっと個人にカスタマイズされたものになっていくと指摘した。そのときに重要となるのがクラウド・コンピューティングだという。スマートフォンには格納できるデータには限りがあり,消費電力の問題から大量の処理を実施するのが難しいからだ。長い期間に渡り,ユーザーのデータがクラウド上に集められ処理される利用形態が一般的になるという。

 そうした取り組みの一つとして,紹介したのがHTCが2010年10月より開始した「HTCSense.com」である。Webブラウザを使ってスマートフォンと同期させた電話帳を管理したり,紛失したスマートフォンを見付けたり,家に忘れてきたスマートフォンへの電話を会社の電話に転送するよう設定できたりする。

 こうした利用形態がさらに発展していくことで,スマートフォンはユーザーに寄り添い,これまでの携帯電話機以上に必要不可欠な機器になるとした。具体的には,リビング・ルームにおいてはコントロール・センターになったり,これまでパソコンやHDDレコーダーなどに記録されていたコンテンツの主要な格納場所になったりする。健康状態の登録,決済機能やその情報,生活にかかわる情報も,スマートフォン上に格納されるようになるとした。教育も成長が見込める分野だという。

 こうしたサービスが発展していくためには,これまで以上に携帯電話事業者,アプリケーション開発者,機器メーカー,プラットフォーム提供者,コンテンツ事業者の協力が必要だが,今後はこれまでよりもコンテンツ事業者の影響力が小さくなると予測した。