図1 講演するNTTドコモの山田氏
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図2 増大するスマートフォン
図2 増大するスマートフォン
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図3 既存サービスをスマートフォンに取り込む戦略
図3 既存サービスをスマートフォンに取り込む戦略
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図4 認証や課金も対抗のカギに
図4 認証や課金も対抗のカギに
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 NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏は2010年11月17日,中国・香港で開催中の携帯電話業界のカンファレンス「Mobile Asia Congress 2010」で講演し,LTE時代のサービス像を語った(図1)。

 同氏はまず,世界の市場で2014年までにはスマートフォンの出荷台数が,従来型の携帯電話機を超えるというデータを紹介(図2)。その上で,日本でも同様の傾向が出ており2012年または2013年にスマートフォンが従来型携帯電話機を逆転するとした。

 ただし,スマートフォン時代には携帯電話事業者側から仕掛けていかないと,米Google Inc.や米Apple Inc.のような企業に,回線以外の収入源をすべて持っていかれてしまう。そこで,NTTドコモならではのユニークで競争力のあるサービスをスマートフォン上でも展開することで,これに対抗していくという。

 そのための取り組みとして挙げたのが,既に社会インフラになったiモードやおサイフケータイなどの機能をスマートフォンに取り込んでいくことだ(図3)。iモード・メールをスマートフォンに取り込んだほか,2010年冬モデルでワンセグやおサイフケータイ付きのスマートフォンを投入した。さらに,今後はiコンシェルやiチャネルなどもスマートフォンに取り込んでいくという。

 講演後に行われたパネル・ディスカッションでは,スマートフォンにNTTドコモのサービスを載せることに対して,「オープンな技術を採用するものの,ユーザーに受け入れられるためにはローカライズが必要である。すなわち“Look Global,Act Local”の精神だ。これを我々は“グローカル”と呼んでいる」と述べた。

 このほか,携帯電話事業者ならではの機能として,SIMおよびそれにヒモ付いた個人情報を使った強力な認証,携帯電話利用料金の支払いのための課金システムなども,AppleやGoogleに対抗する武器になるとした(図4)。また,2010年12月から開始予定のLTEについては,ネットワーク遅延が数十msと,非常に短くなる点を強調した。携帯電話事業者が持つサーバー,いわゆるクラウドで処理しても,端末で処理したのと同じような体験が得られるとし,今後,この分野を強化していくと語った。