図1 EV-DOマルチキャリアの概要
図1 EV-DOマルチキャリアの概要
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図2 EV-DOマルチキャリア対応端末(左)とRev.A対応端末(右)で,1Mバイトのファイルを添付したメールを同時に送信するデモの様子。送信にかかる時間が半分以下に短縮されていた
図2 EV-DOマルチキャリア対応端末(左)とRev.A対応端末(右)で,1Mバイトのファイルを添付したメールを同時に送信するデモの様子。送信にかかる時間が半分以下に短縮されていた
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 KDDIは「CEATEC JAPAN 2010」(2010年10月5~8日)において,CDMA2000 1x EV-DOのマルチキャリア版(以下,EV-DOマルチキャリア)を使い,携帯電話機で高速にデータ通信するデモを見せた。同社は最初のEV-DOマルチキャリア対応端末を2010年10月末に発売する予定である。

 EV-DOマルチキャリアは,EV-DO Rev.Aで使用している1.25MHz幅の搬送波を,空き状況に応じて最大で三つ束ねてデータを送受信する方式。Rev.Aの最大データ伝送速度は下り3.1Mビット/秒,上り1.8Mビット/秒だったが,それを下り9.2Mビット/秒,上り5.5Mビット/秒に高速化する(図1)。KDDIは2012年末に予定するLTE(long term evolution)導入までのつなぎの技術としてEV-DOマルチキャリアを導入することを2009年4月に明らかにしていた(Tech-On!の関連記事)。10月末のサービス開始に向け,「都市圏を中心に,基地局設備の改修はほぼ終わっている」(KDDI)という。

 今回のデモに利用したのは,2010年夏モデルとして発売した「BRAVIA Phone S004」(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製)である。「試験のために特別にソフトウエアを改修してEV-DOマルチキャリアに対応させた」(KDDI)。この端末を使い,実運用中の基地局を通じて容量1Mバイトのファイルを添付したメールを送信した場合,送信にかかる時間がRev.A対応端末の半分以下で済んでいた(図2)。「実効的なデータ伝送速度を2倍程度にすることを目標としていたが,それは十分に達成できそうだ」(KDDI)とする。