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2010年ノーベル物理学賞はグラフェンの発見者に,半導体や透明電極など幅広い応用可能性

2010/10/05 21:03
野澤 哲生=日経エレクトロニクス
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 スウェーデンの王立科学アカデミーは2010年10月5日,2010年のノーベル物理学賞の選考結果を発表した。受賞したのは,共に,英University of Manchesterなど複数の研究機関に属する研究者でロシア出身の,Andre Geim氏とKonstantin Novoselov氏。2004年にグラフェンを簡便な方法で作製し,しかもその後,その性質の解明に貢献したことが評価された。

 グラフェンは,多層の炭素シートから成る黒鉛の一層分の炭素材料。Novoselov氏とGeim氏らは,2004年に「機械的剥離法(mechanical exfoliation)」で簡易にこれを作製できることを発見した。これは,黒鉛に「Scotchテープ」を貼り付け,それを剥がすことで作製する方法である。さらに,その物理的性質を詳細に調べた。

 黒鉛は,鉛筆の芯などにも用いられている非常に身近な材料。ところが,グラフェンは,単なる「1層分の黒鉛」という位置付けを超えて,特異な物理的性質を備えることが2006年ごろまでに理論的に知られるようになった。例えば,その上を流れる電子が質量を持たない粒子として振舞うこと,1層のグラフェンでは金属的な特性を持ち,しかも非常に高いキャリア移動度を示すことが知られている。一方で,2層のグラフェンになると,バンドギャップを備えた半導体になる。カーボン・ナノチューブ以上に物理学者の興味をひく対象であることが,今回の受賞の背景になった可能性がある(関連記事)。

 2009年7月には米University of California, Berkeley校の研究者が,2010年1月には米IBM Corp.が実際に2層グラフェンをチャネル層に用いた電界効果トランジスタ(FET)を作製し,半導体として利用可能であることを確認した(Tech-On!の関連記事)。このころから,グラフェン・トランジスタの開発を試みる研究者が一気に増えたようだ。富士通やNECが早くから半導体への応用を試みていたが(関連記事),最近はソニーなどもグラフェン・トランジスタの開発を始めた(日経エレクトロニクスの関連記事)。

 グラフェンは,ディスプレイや太陽電池に用いられる透明電極の有力候補にもなっている。例えば,2010年6月にはカーボン・ナノチューブでも知られる韓国Sungkyunkwan University(成均館大学)/名城大学 教授の飯島澄男氏と,韓国Samsungグループが,30型と大面積のグラフェン・シートを作製する方法を論文に発表した(関連記事)。名城大学発のベンチャー企業である名城ナノカーボンは最近,「Samsungとは別の方法で,1cm角のグラフェン・シートを安定的に作製できるようになった」としている。

 

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