東大発ベンチャーの先端フォトニックス、300Gbpsの光伝送実装基板を試作
東京大学発ベンチャー企業の先端フォトニクス(東京都目黒区)は独自技術の“光導波路”技術などを組み込むことで、LSI間を300Gbpsの高速光伝送できるガラスエポキシ製基板を試作した。2枚のガラスエポキシ基板間に光導波路となる樹脂製光導波路フィルムなどをはさむ「リジッド埋め込み型光インターコネクション」技術によって、基板内での高速光通信を実現したもの。
同社は、2009年に約70mm角のガラスエポキシ製基板内に1チャネル当たり10Gbpsの光導波路を24本埋め込んだ合計240Gbpsの光通信可能な実装基板を試作している。今回は、約200mm角基板内に同12.5Gbpsの光導波路を24本設けることによって、合計300Gbpsの光伝送に成功したもの。導波路は直線と曲線を組み合わせた3パターンを試作した。LSI間は独自の光電変換モジュール、光導波路、光電変換モジュールの構成となっている。
従来は、光ファイバーなどを用いた高速光通信で情報を伝送しても、CPUなどのLSIを搭載した基板に情報入力するには、一度、電気情報に変換する必要があった。これに対して、同社の光導波路を組み込んだ基板では光情報を直接入力できる点に新規性がある。同試作基板を用いると、LSIまで直接、光情報のままで入力できるので「高速通信、省エネルギー、小型・軽量化ができる」と、社長の重松誠氏は説明する。
基本となる要素技術のリジッド埋め込み型光インターコネクションは、東大先端科学技術研究センターの中野義昭教授が研究開発した成果で、特許出願済み。同社は、この要素技術を基に、2006年3月に設立された大学発ベンチャー企業である。中野教授は同社の最高技術顧問を務めている。
リジッド型で光導波路となる樹脂フィルムは「高屈折率のエポキシ樹脂ベースを用いることが多いが、仕様によっては他の樹脂も適用する」という。同フィルムを埋め込むやり方は公表していない。もう一つの要素技術である光電変換モジュールの仕組みも「詳細は公表していない」。この光電変換モジュールはGaAs(ガリウムヒ素)製のレーザー発信器と受光素子が組み込まれているため、「従来のようにミラーやレンズなどを用いる必要がなくなった」と説明する。
2008年9月にアドバンテストは同社と共同で半導体テストシステムを目指した光配線基板を試作したと、発表している。この場合は、160Gbpsの光通信が可能な基板を試作し、「40Gbpsまでの半導体試験が可能になった」と公表している。先端フォトニクスは、既存企業と共同でリジッド埋め込み型光インターコネクションを実装した基板を実用化し事業化する構えである。
同社はリジッド埋め込み型光インターコネクションを実装する基板開発に加えて、光導波路部分に光ファイバーを用いる「フレキシブル型光インターコネクション」の要素技術の実用化も並行して目指している。












