図1 「らく楽アシスト」を搭載する家電製品
図1 「らく楽アシスト」を搭載する家電製品
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図2 三菱電機 役員理事 リビング・デジタルメディア事業本部 副本部長の梅村博之氏
図2 三菱電機 役員理事 リビング・デジタルメディア事業本部 副本部長の梅村博之氏
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図3 「3Dテレビ」には「オートターン」機能を搭載
図3 「3Dテレビ」には「オートターン」機能を搭載
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図4 冷蔵庫に搭載する「回るん棚」
図4 冷蔵庫に搭載する「回るん棚」
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図5 エアコンに同梱するリモコンに搭載する「快適セレクト」機能
図5 エアコンに同梱するリモコンに搭載する「快適セレクト」機能
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 三菱電機は2010年8月24日,高機能化が進む家電製品の使い勝手を向上させるためのアシスト機能を「らく楽アシスト」と命名し,同社の家電製品の差異化戦略の目玉にすると発表した(ニュース・リリース)。2010年9月以降,液晶テレビやエアコン,冷蔵庫など,同社の家電製品へ横断的に搭載していく。「シンプルな機能はより使いやすく,最新の高度な機能は『らく楽』使いこなせることを可能にする」(同社 役員理事 リビング・デジタルメディア事業本部 副本部長の梅村博之氏)という。会見で梅村氏は,「三菱電機は『らく楽アシスト』精神にのっとり,さまざまな家電製品で思い通りの使いやすさを目指すことを誓います」と宣誓するなど,同機能を前面に押し出す考えだ。同社は,白物家電を中心に高機能や高性能をウリにし,業界標準価格よりも少し高めの価格を設定している。この価格差を乗り越えて,消費者に買ってもらうための機能が,今回のらく楽アシストだとする。

 らく楽アシスト機能は,「国内では4人に1人が65歳以上という超高齢化社会が進む中,シニア層の標準とした新たなものづくりが必要」(三菱電機の梅村氏)との考えから開発を開始したという。シニア層ユーザーに向けの設計ガイドライン「UD設計ガイドライン」を新たに策定し,デジタル家電の開発に適用していく。UD設計ガイドラインでは,(1)「デカ文字」(大きな表示文字),(2)「光や音でお知らせ」(光や音を用いた操作ナビゲーション),(3)「らく楽メンテ」(メンテナンスが簡単であること)の三つを中核に,シニア層から子どもまで全世代のユーザーが楽に使えるよう,東京理科大学 工学部 山本栄研究室と慶應義塾大学 理工学部 中西美和研究室との共同研究で策定した。

対応新製品は“エコポイント3兄弟”

 らく楽アシスト機能を搭載するのは,液晶テレビや冷蔵庫,エアコン,IHクッキング・ヒーター,IH炊飯器,サイクロン掃除機,除湿機,電気温水器「エコキュート」,ふとん乾燥機の9製品。会見で三菱電機は,らく楽アシスト機能を搭載する新製品として,液晶テレビと冷蔵庫,エアコンの3製品を発表した。これらは,現在,エコポイントの対象製品である。「エコポイントが終了する年末以降は,らく楽アシストで他社に対する優位性を出していく。市場規模は縮小するが,三菱電機はらく楽アシストで,前年度比で100%を目指す」(三菱電機の梅村氏)と意気込む。

 液晶テレビは,3次元(3D)映像の表示に対応する。表示部を左右に±20度の角度で調整できる「オートターン」機能を,3Dテレビのらく楽アシスト機能として売り込む。「左目と右目の視差で立体感を得る3Dテレビにとって,正面での視聴がベスト・ポジションとなる」(三菱電機 京都製作所 所長の阿部正治氏)と,自信をみせる。

 冷蔵庫が搭載するらく楽アシスト機能は,冷蔵室最上段の食品を載せたまま回転できる「回るん棚」である。これにより,冷蔵室最上段の奥の食品が簡単に取れるようになるという。「回るん棚で冷蔵庫の使い勝手が変わる。冷蔵庫の最上段を,朝はバターやジャムが手前に,夜は(回転して)ビールが手前になるようにできる」(三菱電機 静岡製作所 所長の永友秀明氏)とする。

 エアコンでは,リモコンに改良を加えた。同梱するリモコンには,3.5型のモノクロ液晶パネルを搭載する。自社開発のGUIを用いて,ユーザーの気持ちを,文字と画像から選べる「快適セレクト」機能を備える。ユーザーが,「肌を保湿したい」「すぐに暖めたい」「空気をまわしたい」など21の気持ちから,実現したい気持ちを選択すると,エアコンが自動運転する機能を盛り込んだ。なお,三菱電機は,今回の新製品に世界で初めてSiC基板を用いたパワー半導体を搭載した(Tech-On!の続報)。