モバイルWiMAXをTD-LTEに統合する交渉が水面下で進行していることが2010年7月15日,明らかになった。中国ZTE TDD製品 国際部門マーケット・ディレクターのリャン・ミン氏が都内で開催された講演会の中で明らかにした。

 TD-LTEはNTTドコモが2010年12月に開始予定の通信サービスで採用する通信方式である「LTE(long term evolution)」の兄弟規格。NTTドコモは上りと下りの通信で異なる周波数を利用するFDD(frequency division duplexing)版のLTE,「FDD LTE」であるのに対し,TD-LTEは上りと下りで同じ周波数を使うTDD(time division duplexing)方式を採用する。

 モバイルWiMAXもTDD方式であることから,TD-LTEはTDD帯域向けの通信方式のライバルだった。最近では米国のモバイルWiMAX事業者,Clearwire Corp.がTD-LTEへの移行の検討していることが明らかになったり,インドの周波数オークションでTD-LTEの展開に積極的な事業者が落札したりするなど,モバイルWiMAXの劣勢が顕在化している。

 リャン氏によると,「携帯電話事業者からTDD向けの通信方式を統一するよう強い要請があり,交渉が進んでいる」という。現在,モバイルWiMAXは次世代規格としてIEEE802.16m,LTEは次世代規格としてLTE-Advancedを策定中である。「この次期版で方式を統一化する方向で話し合っている」(リャン氏)という。