写真1 MCIMの概要
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写真2 日本エリクソンCTOの藤岡雅宣氏
写真2 日本エリクソンCTOの藤岡雅宣氏
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 移動通信機能を搭載したデジタルカメラを箱から取り出し,その場で好きな携帯電話事業者と契約してネットワークに接続できる――。そんな環境が早ければ2011年にも整う。日本エリクソンは2010年7月14日,都内で記者説明会を開催し,そのための取り組みを進めていることを明らかにした。

 冒頭のような環境の核となるのが,デジタルカメラやノート・パソコンなどの組み込み機器に内蔵されるMCIM(machine communication identity module)と呼ぶ機能(写真1)。SIMカードと同じ機能をソフトウエアで実現する,いわゆる「ソフトSIM」機能である。携帯電話事業者が移動通信ネットワークを介して,加入者情報を書き込むことができるようになっている。移動通信の標準化団体「3GPP」で仕様を策定中で,2011年にも標準化されるという。

 現在,移動通信機能を搭載した機器には,SIMカード・スロットが用意されている。ユーザーはここに携帯電話事業者から購入したSIMカードを挿して,所望の携帯電話事業者のネットワークを利用する。MCIMの場合は,メーカーが製造時にこの機能をあらかじめ機器に実装しておく。ユーザーがSIMカードを後から差し込む必要はないため,ユーザーが移動通信サービスの利用を開始する敷居が低い。

 動作の流れは次のようになる。まず,最初に機器があらかじめ設定された仲介携帯電話事業者に接続する。ここで契約する携帯電話事業者を選ぶと,この仲介事業者経由で最終的に契約する携帯電話事業者の加入者情報がMCIMに書き込まれる。以後は,契約先の携帯電話事業者経由でサービスを利用する。

 この仕組みが整うことで例えば,「海外の観光客が日本で購入したデジタルカメラなどの移動通信対応の機器を購入し,帰国後に通信事業者と契約することが可能になる」(日本エリクソンCTOの藤岡雅宣氏)という(写真2)。