A-D変換器(ADC)の高性能化と低電力化を両立させる技術開発が進んでいる。「2010 Symposium on VLSI Circuits」(2010年6月16~18日,米国ハワイ州ホノルルで開催)のSession23「Low-Power Nyquist ADCs」では,9~12ビットで10M~150Mサンプル/秒という高分解能かつ高速でありながら,軒並み10mWを下回る低電力のADCの発表が相次いだ。技術開発の方向性としては,従来の低電力アーキテクチャに改良を加えるという方向性に加え,逐次比較方式と他の変換方式をうまく融合させるという新しい展開が見られた。今後も逐次比較方式を中心にその方式内での改良が進む一方,逐次比較方式と他の変換方式を組み合わせて互いの弱点を補い合う新しいアーキテクチャの登場を予感させる内容となった。
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