三菱電機が4月30日に発表した2010年3月期(2009年4月~2010年3月)の連結決算は,売上高が前の期に比べ8.5%減の3兆3532億円,営業利益は同32.5%減の943億円だった。発電用機器などの社会インフラ事業の売り上げは前の期と同水準だったが,FAシステムや,自動車機器,エアコンなどが低迷した。コスト削減策などの効果で,純利益は同2.3倍の282億円だった。

 FAシステムや自動車機器などの産業メカトロニクス分野の営業利益は前の期に比べ47.6%減の261億円,家電分野は同86.1%減の48億円と,それぞれ大幅な営業減益だった。企業が設備投資を抑える動きが広がり,2010年3月期前半は工作機械や実装機などの需要が低迷。家電分野では,エコポイントなどの補助金制度で国内向けの太陽光発電システムや液晶テレビは堅調だったが,国内外でエアコンなどの売り上げが減少した。

 情報通信システム分野の営業利益は前の期比24.7%減の186億円。光アクセス網関連やシステム構築事業などの売り上げが伸び悩んだ。電子デバイス分野は営業損益が71億円の赤字だったものの,赤字額が前の期より226億円縮小した。中国でエアコン向けの民生用パワー半導体の売り上げが伸びたほか,コスト削減が奏功した。

 今期(2011年3月期)は「産業メカトロニクスや家電,電子デバイスの分野が盛り返す」(同社の吉松裕規常務)とみている。売上高は前期比で3.8%増の3兆4800億円,営業利益は同48.5%増の1400億円を見込む。