【図1】農機で展張する生分解性マルチフィルム。
【図1】農機で展張する生分解性マルチフィルム。
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【図2】鋤き込み作業の様子。
【図2】鋤き込み作業の様子。
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 MKVドリーム(本社東京)は、普及価格タイプの生分解性マルチフィルム「カエルーチ」を2010年4月1日に発売する。主原料の生分解性樹脂に三菱化学の「GS Pla」を採用し、加工技術の工夫によって歩留まりを改善することでコスト削減を実現した。価格は一般のポリエチレン製に比べて割高になるものの、剥ぎ取りや片付けといった回収作業が不要となり、使用済みフィルムの処理にかかる費用も発生しないため、生産者のトータルコストを低減できる。

 マルチフィルムとは、畑(地表)の乾燥防止、雑草抑制、温度調整などのために畑に張る農業用フィルムのこと。レタスやトウモロコシ、カボチャ、大根、タマネギといったさまざまな野菜の栽培に用いられている。原料としてはポリエチレンを使用する製品が主流だが、近年では自然環境下で分解される生分解性樹脂を用いた製品も販売されている。ただし、生分解性マルチフィルムはポリエチレン製マルチフィルムと比べて価格が3~4倍と高く、全体での使用比率は3%程度と広く普及していないのが現状だという。

 カエルーチは「ポリエチレン製マルチフィルムの約2~3倍の価格」と、従来の生分解性マルチフィルムよりも2~3割安い。農機による展張も簡単に行える強度を持ち、作物の生育中は通常のマルチフィルムとほぼ同等の機能を持っている。収穫期となる3~5カ月後には、土壌中の微生物により分解が始まり、収穫後は作物残渣と共に土中に鋤き込んでおけば、やがて水と炭酸ガスに分解する。このため、使用後のマルチフィルム回収に手間がかかるトウモロコシやキャベツ、カボチャ、イモ類などの栽培で大きな効果を得られる。

 色は黒と透明の2種類で、幅は95mm、135mm、150cmの3種類、長さは200mと400mの2種類を用意する。有孔品もある。全て受注生産による一括納入が前提だ。