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 HOYAは,同社として初めての中判(ちゅうばん)デジタル一眼レフ機「PENTAX 645D」を,2010年3月11~14日にパシフィコ横浜で開催された「CP+」に出展した(ニュース・リリース)。撮像素子は,米Eastman Kodak Co.製のCCD。その撮像部は44mm×33mmと大きい。有効画素数は4000万である。

 ボタン操作などのユーザー・インタフェースの多くは,APS-Cサイズの撮像素子を内蔵する一眼レフ機「K-7」と共通している。想定実売価格は80万円台。2010年5月に発売する予定。月産予定台数は当初500台。当面,日本国内にだけ出荷する。

 HOYA PENTAXイメージング・システム事業部 マーケティング統括部 商品企画グループ マネジャーの川内拓氏に,本機の狙いを聞いた。

――PENTAX 645Dは,既存の一眼レフにはない,どのようなユーザー体験を提供するのか?

川内氏 本機は極めて美しい風景写真の撮影を,これまで以上に容易にする。そもそも中判というフォーマットの有効性は失われていない。今でも風景写真のコンテストで入賞するのは大抵,中判機で撮った写真である。ユーザーから意見を聞くと「35mmフィルム・サイズの撮像素子を搭載した一眼レフ機に一旦は移行したが,再び中判フィルム機に戻ってきた」というユーザーがかなり多い。

 ただ,これまではアマチュア写真家に向けたリーズナブルなデジタル中判機がなかった。PENTAX 645Dと同様,外に持ち歩けるデジタル中判機としてはドイツLeica Camera社の「S2」があるが,価格は当社商品の4倍ほどと高い。

 銀塩の中判機に親しんできたユーザーには,デジタル化によってISO感度が高められことが評価されるかもしれない。フィルムでISO感度は400止まりだったが,本機は1000でも撮れる。この結果,これまで撮影対象としにくかった暗い被写体も撮れるようになる。

――PENTAX 645Dは,ほとんどのカメラが備えるローパス・フィルタを備えていない。その分,部材費が安くなるものの,モアレが生じやすくなるのではないか?

川内氏 ローパス・フィルタは,モアレ回避とともに解像度の低下をもたらす。我々は,これを問題視した。それにモアレは,本機の主要被写体である風景を撮っている限り,そうそう発生しない。人工物を撮ったときには,生じることもあるが,それとてレタッチ・ソフトウエアで除去することができる。