東京農工大学、血流の脈動原理を活用して管内乱流摩擦抵抗を低減---壁面摩擦の平均値が定常流より60%近く減少
東京農工大学大学院工学府機械システム工学専攻特任准教授の岩本薫氏は、管路を用いた流体輸送におけるエネルギ消費の9割以上を占めるとされる乱流摩擦抵抗を、低減する基礎技術を開発した。生物の血流における脈動からヒントを得たもので、流れを脈動させ再層流化することで乱流摩擦抵抗を低減する。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の産業技術研究助成事業の一環として実証実験を行い、その効果を確認した。ポンプ、曲がり部、段差から構成された室内実証試験では、最大で約58%の削減効果があったとしている。
液体だけでなく、天然ガスや水素、二酸化炭素などの気体の輸送にも適用可能。従来の管路による輸送システムにおいて、流体を駆動するポンプの制御方法を変更するだけで済むという。配管への熱損失も大きく減り、断熱効果も向上する。
乱流摩擦抵抗を低減する方法としては、これまでにも、ポリマや界面活性剤などを添加する方法や、リブレットと呼ばれる微小な突起をパイプ表面に一様に取り付ける手法があった。しかし、前者は気体には適用できず、液体の場合も輸送後の添加剤の除去が難しいとか、熱交換器などへの混入の可能性があるといった問題があった。一方、後者はゴミが突起に詰まるとか、配管内の内壁面全面に設置する必要があるため初期コストが高い、などの課題があった。新開発の方法では、こうした問題もなくなる。
今後、東京農工大では同技術の実用化に向けて、曲がり管や分岐管といった継ぎ手類の影響や流量センサへ与える影響を調査し、長距離輸送に関する検討も進めていく。地域冷暖房やパイプライン技術を既に保有している、もしくは長距離の流体輸送の技術開発・商品開発に知見や実績を有するか関心を持っている企業・組織などと意見交換を行い、技術相談に応じたり共同開発を提案したりしていくという。













