図1 説明パネル
図1 説明パネル
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図2 左が透明電極フィルムにガスバリア層を組み合わせたもの。右はガスバリア層だけを形成したフィルム材である。
図2 左が透明電極フィルムにガスバリア層を組み合わせたもの。右はガスバリア層だけを形成したフィルム材である。
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 グンゼは,抵抗値が低い透明電極フィルムを「nano tech2010 国際ナノテクノロジー 総合展・技術会議(2010年2月17~19日,東京ビッグサイトで開催)」に出展した。有機ELディスプレイや電子ペーパー用途に向ける。

 透明度の指標となる「全光線透過率」が78%の場合で表面抵抗値は8.1Ω/□と低い(図1)。透明電極フィルムとして一般的に利用されるITOフィルムの場合,全光線透過率と抵抗値はトレードオフの関係となる。抵抗値を下げるためにITO膜を厚くすると透過率は低下する。一方,透過率を上げようとITO膜を薄くすると抵抗値は高くなってしまう。例えば,タッチ・パネル用途のITOフィルムの場合,一般に全光線透過率は80~90%ほどで,表面抵抗は200~400Ω/□ほどが求められる。

 グンゼは詳細を明かさないものの,ITOのほかに別の物質を組み合わせることで,低い抵抗値と比較的高い透過率を両立したという。一般的なITOフィルムと同じく,スパッタで透明電極層を成膜する。

 同社はさらに,この透明電極フィルムにガスバリア層を組み合わせた成果も披露した(図2)。ガスバリア層だけを形成したフィルム材の水蒸気透過率は0.02g/m2/日を下回る(40℃で相対湿度90%の場合)。全光線透過率は93.3%である。