【ナノテク展】「大手電機メーカーのブースがない」――ここにも“仕分け”か
ナノテク関連で世界最大というイベント「nano tech 2010(国際ナノテクノロジー総合展,2月17〜19日)」が開催されている。筆者は,2003年以降,毎回訪れているが,今回は大きな変化が感じられた。大手電機メーカーが1社も大型の自社ブースを構えていないのである。
nano techは,やや乱暴に言えば,国家プロジェクトの公開成果品評会の要素を強く感じるイベントである。Tech-On !でも紹介したように(関連記事一覧),可能性を感じる技術に出会う機会が多い。前回までの特徴を大雑把にまとめると,以下の通りになるだろう。
(1)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や産業技術総合研究所(産総研)が,会場の中央にドカッと大きなブースを構える。ブース内では,主にプロジェクトの開発成果が所狭しと展示され,担当する研究者がパネルや実物を使って説明する。プロジェクトを受託した企業の担当者が説明している場合もある。科学技術振興機構(JST),物質・材料研究機構,理化学研究所も同様である。
(2)これらのブースを,あたかも“露払い”するように囲む位置で,日本の大手電機メーカーが自社のブースを構える。展示は同じように,助成を受けた開発成果を並べる印象が強い。例年,出展していた代表的な企業は,日立製作所や東芝,富士通,NECなどである。
(3)海外の政府系研究機関が多く出展する。地域別には,欧州や東アジアが多く,米州が少ない傾向にある。この傾向は,日本の企業に技術を売り込む意欲の高さによるものなのか,あるいは,後援に名を連ねる日本の各省との関係の濃淡が表れているのかは不明である。
(4)これらとは別に,日本を中心とする材料メーカーが,新たな設計や高精密な制御技術を使って実現した新材料を多く出展する。あえて「材料メーカー」とするのは,製造装置の場合,半導体製造プロセスや一部の機械加工以外の多くの量産技術は,「ナノテクノロジー」の域に達しておらず,出展が限られるからである。例年,多く目にする主な装置は,ナノインプリント,電子ビーム描画,検査・計測にとどまる。
プロジェクトに良い緊張感が醸成されるか
ところが今回,上記のうち,(1)と(2)が大きく変わった。まず,NEDOと産総研,JSTは,会場の隅にブースの位置を変えた(図1)。
さらに驚いたのが,常連だった大手電機メーカーが1社も大型の自社ブースを構えなかったことである。こうした企業にとって,nano techへの出展は,“プロジェクトへの参加税”のようなものだろうと,筆者は思い込んでいた。
同じように感じている来場者が多かったのか,大手電機メーカーが出展しなかった理由を,会場のあちこちで話題にしていた。例えば,2009年12月に開催された「SEMICON Japan」に露光装置メーカーなどがそろって出展しなかったのとは,意味合いが違うという声をよく聞いた。
「不況で企業の経営環境が厳しい」といっても,もっと厳しい状況だったはずの2009年2月に開催された前回は,日立製作所(Tech-On ! 関連記事1),東芝(同関連記事2),富士通(同関連記事3),NEC(同関連記事4)などが出展していたのである。
また,コスト削減の一環として,企業が規定の割合で費用を負担することになるために,プロジェクトへの応募を取り止めるといった話が,多く聞こえてきているわけでもない。
筆者がたどり着いた推論の一つは,以下のようなものである。
政府の行政刷新会議が2009年11月に実施した「事業仕分け」の余波ではないか――。科学技術関連のプロジェクトに大ナタを振るったように,プロジェクトを受託している企業の側でも“仕分け”をした――。
前向きにとらえると,プロジェクトの委託側,受託側の間に,良い意味での緊張感が高まりつつある,という解釈である。
もっとも,政府が事業仕分けの時期を予算編成の直前としたように,大手電機メーカーもnano tech非出展という“仕分け”を開催直前に行ったようである。大手電機メーカーが出展を予定していたと思われる会場の中央付近の一等地に,なぜか休憩スペースが配置されていたりする(図2)。












