フロンティア カーボンは、有機薄膜太陽電池向けのフラーレン誘導体PCBM(Phenyl C61-butyric acid methyl ester)の超高純度グレードを開発、販売を開始した、と国際ナノテクノロジー総合展・技術会議「nano tech2010」(2010年2月17日~19日,東京ビッグサイト)で公表した。出荷は3月中旬になるという。
今回開発したPCBM新グレード「E102」の純度は99.9%(図参照)。説明員によると、「当社が調べた限りでは、市販されているPCBMの中で最も純度が高い」と言う。
PCBMは、有機薄膜太陽電池の構成層の中で、代表的なn型半導体である。純度が高いほど、変換効率などの性能がアップする。同社は、産業技術総合研究所と共同で、P型半導体にP3HTを使ったバルクヘテロ型太陽電池を試作して変換効率などを調べたところ、全体的に高い値が得られたという(図2)。
有機薄膜太陽電池は、大幅なコストダウンの可能性があり、フレキシブルなためにデザインの自由度が高いなどの特徴から、近年研究開発が活発化しており、変換効率の向上争いも激化している。超高純度グレードは、こうした研究ニーズに応えることを狙ったものだ。