ULの太陽電池試験所
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ULの太陽電池関連規格
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 製品の安全試験や認証サービスを手掛ける米Underwriters Laboratories Inc. (UL)。その日本法人であるUL Japanは,2010年9月に三重県伊勢市に太陽電池試験所を開設する予定である。UL Japanの担当者に,太陽電池認証の状況を聞いた。

――太陽電池関連のUL規格に対する適合性評価サービスの依頼件数の推移を教えてください。

 具体的な数字は公表できませんが,依頼件数は年々増加傾向にあります。太陽電池モジュールの安全性の規格である「UL 1703」の地域別の依頼数比率は,中国が35%強で首位,米国が25%で2位,日本が10%弱で3位になっています。中国や米国が環境対応を積極的に進めているのが分かります。

――太陽電池試験所の設置状況を教えてください。

 従来は大学などと連携しながら適合性評価に対応していましたが,太陽電池の評価依頼が増えたために,2008年7月に米国サンノゼに初めて太陽電池試験所を設置しました。延床面積は約1860m2で,シミュレータを2機,チャンバーを14機備えています。

 その後,2009年2月に中国の蘇州にULとして2番目となる太陽電池試験所をオープンするとともに,2009年中に同施設を拡張しました。2010年には3月にドイツ,9月に日本で太陽電池試験所を開設する予定です。日本の試験所は,米国と同等の規模になる予定です。

――日本に太陽電池試験所が開設することで,これまでと何が変わりますか。

 これまで日本メーカーが適合性評価を受けるには,海外の試験所に太陽電池モジュールなどを送付して試験をする必要がありました。新施設の開設後は日本で実施できるようになるため,送付に要する期間と事務的な手間が省けるようになります。

――太陽電池関連で新たな安全性の規格の策定は進んでいますか。

 太陽電池に使う電線(Subject 4703)とバックシート(Subject 5703)の規格案ができています。どちらも規格化のニーズが高かったものです。そのほかに,集光型太陽電池モジュールの規格案(Subject 8703)があります。正式な規格になる時期は,現時点で見えていません。

――UL 1703とIECの安全性規格(IEC 61730-1,-2)との相互認証の状況はどうなっていますか。

 IEC規格との整合に向けた改定の検討は進んでいます。しかし,整合できる時期は未定です。安全性の規格は,それぞれの地域特性を反映しており,UL 1703は米国に適した規格になっています。