図●プロセスのイメージ図
図●プロセスのイメージ図
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 出光興産,住友化学,三井化学の3社は2010年1月25日,2006年4月から共同開発を進めている「コンビナート副生分解C4留分の活用による高効率プロピレン生産システム」の研究設備の実証運転を始めた。システムは3社が設備を置く千葉地区で実施するもので,完成すれば,エチレンに対するプロピレンの生産比率が,一般的なエチレン分解炉では0.6であるのに比べて0.9以上と高くなる。

 新システムは,中東や中国の大型石油・石油化学プラントとの国際競争に勝ち残る秘策の一つ。企業の壁を超えて連携し,生産効率を上げることで競争力の強化を図る。千葉地区は,3社が複数のエチレン分解炉と流動接触分解装置を近隣に設置しており,パイプライン網も整備されている。この立地条件を生かし,製油所と石油化学工場で副生されるC4留分とエチレンを原料に,クリーン燃料とプロピレンを生産する。

 具体的には,(1)製油所/石油化学工場から副生C4留分とエチレンを集積(2)C4留分からイソブテンを選択的に重合してクリーン燃料に転換(3)ノルマルブテンを分離して濃縮製造(3)濃縮されたノルマルブテンをエチレンと触媒反応させてプロピレンに転換---というプロセスを用いる(図)。

 研究開発費には約100億円(負担比率は出光50%,住友25%,三井25%)を投じ,完成後は15万t/年の生産量を目指す。