ルネサス テクノロジ取締役社長の赤尾泰氏は「第11回 半導体パッケージング技術展」(2010年1月20~22日開催,第39回 インターネプコン・ジャパンと併催)で,基調講演を行った。その中で,同社の実装やパッケージングに対する最新の取り組み状況を説明した。

講演する赤尾氏 Tech\-On!が撮影。スクリーンはルネサスのデータ(図2に別掲載あり)。
講演する赤尾氏
Tech-On!が撮影。スクリーンはルネサスのデータ(図2に別掲載あり)。
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図1●BGAボール配列の工夫と効果 ルネサスのデータ。
図1●BGAボール配列の工夫と効果
ルネサスのデータ。
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 同氏の講演は4部構成だった。(1)半導体産業の構造変化,(2)同社の戦略,(3)パッケージ設計技術,(4)4月1日に発足のルネサス エレクトロニクスの概要の順で語った。このうち,(3)が技術的な内容で,「パッケージ設計における高速化対応技術」というサブ・タイトルが付いていた。同氏は,パッケージ設計の位置づけの変化,PI(power integrity:給電系の安定性)設計技術,SI(signal integrity:信号の安定性)設計技術,SiP向けのチップ-パッケージ-基板」統合設計環境の順で紹介していった。

顧客のボードの一部を設計

 このうち,パッケージ設計の位置づけの変化は「基板(機器のボード)に優しいSOC(チップ)を提供します」(赤尾氏)という言葉に集約されている。かつては,どこの半導体メーカーでも,チップの優先順位が高く,いいチップを作ることに力が注がれ,パッケージングはおまけという認識が強かった。最近ではDDRメモリ周りを中心に高速化が進み,パッケージングを考えないと,高価な先端プロセスでチップを作ったとしても,ボード上で稼働しないケースが急増している。

 このため,パッケージやボードを考慮してチップを開発することが重要になってきた。例えば,「米IBM Corp.では,外部に任せることが多かったパッケージ開発を社内に戻すようになってきた。チップとパッケージを同時並行的に開発しないと,チップの実力を引き出せないためだ」(日本アイ・ビー・エム)。米Intel Corp.も「Mooreの法則維持には,パッケージンの進展が必須」とし,後工程のR&Dに力を入れるようになった(Tech-On!関連記事1)。

 今回,赤尾氏が紹介した,「DDRメモリとのインタフェース部では,SoCのBGAパッケージのボール配列は,基板(機器のボード)をレイアウト設計してから決める」という設計手順は,パッケージング重視の典型と言える(図1)。ルネサスでは,パッケージング部門がユーザー(機器メーカー)のボードの一部(DDRメモリ周り)をユーザーの設計ルールで設計する。同時に,PIやSIの視点で有利なようにボール配列を決めている。