「（本格的な）パーソナル・コンピューティングの時代が到来し，コンピューティング技術がさまざなデバイスに広がっている」。
米Intel Corp. President and CEOのPaul Otellini氏は，米国時間の2010年1月7日に行った基調講演で，現在の状況をこう位置づけ，将来のビジョンや同社の製品戦略などを語った。いつものように冒頭でムーアの法則に触れ，同日に発表した32nmの製造プロセスによるCore i7/i5/i3プロセサが，「最初のプロセサである4004に比べて性能では5000倍，価格性能比では10万倍にもなる」と述べた。しかし，それ以降の時間の多くをパソコン以外への製品展開などの説明に費やした。
そのなかで，今回初めて公開されたのが，「Atomプロセッサー CE4100」を搭載したセットトップ・ボックス（STB）と，「Moorestown（開発コード名）」を搭載したスマートフォンのデモである。
Atom CE4100は，2009年9月に公開されたテレビなどに向けたSoCである。同氏はCE4100を搭載した，フランスの通信事業者Orange社が発売を予定しているSTBを紹介した。このSTBはテレビやインターネットのVODなどに対応しており，CE4100が内蔵するGPUを利用してコンテンツのリストを3DのUIで表示することができる。
一方，Moorestownは次世代Atom（開発コードはLincroft）をベースにした携帯端末やスマートフォン向けの次世代プラットフォーム。従来のプラットフォームである「Menlow」に比べて，動作時の消費電力は1/2以下に，待機時の消費電力は1/50に低減するという。Otellini氏は基調講演で，Moorestownを搭載した韓国LG Electronics Inc.のスマートフォン「GW990」を紹介し，HD動画の再生や3次元のUIなどをデモした。GW990は，2010年後半に発売される予定という。
