図1 写真中央にあるのがHP社のノート・パソコンで,下にあるオレンジ色の外枠を備えた外付けHDDがLaCie社の製品
図1 写真中央にあるのがHP社のノート・パソコンで,下にあるオレンジ色の外枠を備えた外付けHDDがLaCie社の製品
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図2 USB接続のカメラによるデモの様子。写真右側にカメラ,左側にモニターがある
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図3 カナダPoint Grey Research社のカメラ
図3 カナダPoint Grey Research社のカメラ
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図4 中央にある銀色味がかったの物体がMicrovision社のピコ・プロジェクター
図4 中央にある銀色味がかったの物体がMicrovision社のピコ・プロジェクター
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図5 3M社のピコ・プロジェクター
図5 3M社のピコ・プロジェクター
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図6 左の円形の機器がPFC社の携帯電話機の紛失防止機器。Bluetoothを使う
図6 左の円形の機器がPFC社の携帯電話機の紛失防止機器。Bluetoothを使う
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図7 TI社のワイヤレス給電用評価キット
図7 TI社のワイヤレス給電用評価キット
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図8 Fulton社のiPhone用ワイヤレス給電機。下のケースにiPhoneを入れ,中央の台に載せると給電する
図8 Fulton社のiPhone用ワイヤレス給電機。下のケースにiPhoneを入れ,中央の台に載せると給電する
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図9 Powertech Industrial社の無線制御する電源タップ
図9 Powertech Industrial社の無線制御する電源タップ
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 2010年1月7日に開幕する民生機器関連で米国最大の展示会「2010 International CES」に先駆けて,報道関係者向けのイベント「CES Unveiled」が5日に開催された。イベント会場は,次世代高速インタフェースや,ピコ・プロジェクター,変わり種の小型デジタル・ガジェット,ワイヤレス給電技術などが展示され,ベンチャー企業を中心にしたアイデア商品で賑わった。

USB 3.0対応品でデモ

 USBの仕様策定団体「USB Implementers Forum(USB-IF)」は,最大データ伝送速度を5Gビット/秒と従来に比べ10倍以上に引き上げたUSB 3.0に対応する製品群を出展した。米HP社のノート・パソコンやフランスLaCie社の外付けHDDなどが会場に並んだ(図1)。カナダPoint Grey Research社製のWebカメラで撮影した1080p(60フレーム/秒)のHD映像を,USB 3.0を介してモニターに伝送し,リアルタイムに表示するデモなども披露した(図2,図3)。

 USB 3.0は2008年11月に策定されたUSBの最新仕様で,既に対応LSIも製品化済み。外付けHDDなどの周辺機器が2009年末から店頭に並び始めており,今回のCESでは対応製品が広がりを見せそうだ。

ピコ・プロジェクターの新製品も登場

 携帯機器に内蔵できるほど小さい超小型プロジェクター,いわゆる「ピコ・プロジェクター」の新製品も会場で披露された(図4,図5)。2008年末ごろから製品化され,携帯電話機やデジタル・カメラへの内蔵も始まっている。今回のCESでも,新機種の出展が相次ぐと見られる。

 米Microvision社は,半導体レーザを光源として用いるピコ・プロジェクターを出品。2010年3月に発売予定で,価格は500米ドルほど。画素数はWVGAで,明るさは約10lmという。

 米3M社は,LEDを光源とするピコ・プロジェクターの新製品を披露した。発売準備をしている最中で,「プレ・オーダーを受付中」と同社の説明員は話す。価格は395米ドル。明るさは15lmほど。内蔵する2次電池で約2時間の連続動作が可能という。1Gバイトのフラッシュ・メモリを内蔵する。

携帯電話をなくさないBluetooth

 近距離無線通信技術「Bluetooth」を使って,携帯電話機などの紛失を防ぐキーホルダー型の小型機器の出展も相次いだ。

 米PFC社は,マイクロホンを内蔵し,ヘッドセットとしても機能する小型の紛失防止機器を出展した(図6)。Bluetooth対応の携帯電話機と組み合わせて使う。この機器をポケットに忍ばせておけば,携帯電話機の位置がユーザーの周囲の半径10~30フィートより離れると警告音と振動が鳴る。Bluetoothの接続が切れたときに警告する仕組み。携帯電話機を置き忘れたり,盗まれたりした際に役立つ。

 携帯電話機が通話を受信したときにも,振動などでユーザーに知らせる。機器のボタンを押すと,ヘッドセットとして動作するので,携帯電話機をカバンに入れておいても通話が可能だ。2010年夏に製品化し,価格は79.95米ドル。このほか,英TenBu Technologies社も同様の紛失防止機器を出展した。携帯電話機だけでなく,ほかのBluetooth搭載機器でも利用できる。

ワイヤレス給電や長期保存可能な電池も

 会場では,ワイヤレス給電や,長期保存可能な電池を使った緊急時用の懐中電灯なども関心を集めていた。

 米Texas Instruments社は2010年1月5日に発表したワイヤレス給電技術の評価キット「bqTESLA Contactless Charging Evaluation Kit 」を展示した(図7)。キットの価格は250米ドルで,同年第1四半期末に製品化する。米Fulton Innovation社は,同キットを応用したiPhone向けのワイヤレス充電機を出展した(図8)。2010年2月に89.99米ドルで発売する予定だ。

 米mPower Technologies社が出展した「mPower Emergency Illuminator」は,20年間保存可能な電池を内蔵した緊急時用の懐中電灯。独自開発のCR-123型電池2個を使う。289米ドルで2010年3月に出荷を開始する。mPower社は,米mPhase Technologies社の子会社で,mPhase社が開発した軍事用の電池技術を利用しているという。

“エコ”“省エネ”がキーワードに

 このほか,2010年のエレクトロニクス業界を占う大きなキーワードの一つである「省エネ」「エコロジー」を前面に出した新製品の出展も多かった。

 例えば,台湾Powertech Industrial社は,無線を使って家電やパソコン関連機器の電源のオン/オフを制御できる電源タップを出展した(図9)。パソコンなどのUSB端子に接続して使う小型の無線機器と,無線内蔵の電源タップを組み合わせる。USB端子を接続したパソコンの電源を切ると,その情報が電源タップ側に伝送され,電源タップを共有しているプリンタなどへの電源供給を自動で停止する仕組み。

 同社はパソコン周辺機器メーカーなどにOEM供給する。米国では2010年第2四半期にも製品化される見込みで,日本でも大手メーカーと開発を進めているという。

 このほか,100~200米ドルと安価なIPTV用のセットトップ・ボックスや,米Apple社の「iPod touch」をカーナビとして使えるようにする200米ドルほどのGPS装置などの出展もあった。明日から開幕するCESでは,大手メーカーの取り組みだけでなく,こうしたアイデア勝負の機器でも盛り上がりを見せそうだ。