通信や放送技術やその機器に関する最新情報を伝えるテーマサイト「通信」で,2009年にもっとも多く読まれた記事10本を紹介する。10本のうち7本を占めたのが,ソーラー・ケータイや11.9mm厚の薄いケータイ,防水ケータイ,iPhone 3G Sなどいずれも「キャラが立った」携帯端末に関する記事だった。残り3本は,スマートメーターに関する記事とUSB3.0に関する記事である。

▼ 2009年「通信」記事ランキング

順位記事タイトル日付
1「すべての薄型対策をつぎ込んだ」,最薄11.9mmのスライド・ケータイ「SA001」の特徴を京セラに聞く12/01
2【ソーラー・ケータイ分解その2】まずは使ってみる,充電機能の実力は?6/16
3【CES】USB3.0の実演,5社が披露1/10
4【ソーラー・ケータイ分解その1】話題の太陽電池ケータイを入手6/16
5東京ガスなど,スマートメーター導入に向け「ユビキタスメータリングフォーラム」を開催4/24
6【WWDC】iPhone 3G S登場,同じiPhone OS 3.0で2倍の性能向上6/09
7【ソーラー・ケータイ分解その3】表示部を分解,太陽電池モジュールを見る6/17
8【Palm Pre】Palm Preを初日に購入,店頭に並ぶユーザーに少々驚く――ファースト・インプレッション(1)6/08
9NICT,富士電機,パナソニック,東京ガスなど,米IEEE802.15にスマートメーターの無線方式を共同提案7/21
10富士通の防水ケータイ,両面テープ活用で薄型・曲面筐体を実現5/25

(集計期間:2009年1月1日~12月15日)

 このランキングからは漏れたが,11位に入ったのは,ディスプレイと通信機能の本体を分けてBluetoothでつないだNTTドコモの「セパレート・ケータイ」に関する記事だった。iPhoneなどの「黒船」襲来に目覚めたのか,日本で長く続いた,多機能だが無個性の携帯電話機ばかりの時代から,ようやく個性を主張する携帯電話機やスマートフォンの時代に入りつつあるようだ。ただ,iPhoneに続いて格安のAndroidケータイやGoogleケータイといった黒船の第2波,第3波が次々に到達しつつあり,狭いながらも快適だった「ガラパゴス市場」は風前の灯と言える状況である。

 ランキングに2本入った,スマートメーターの記事は,海外で先行しつつある「通信技術と電力網の融合」という大変革の一部が日本にも入り込んできたもの。日本の電力会社は「我々の電力網は,米国などに比べればずっと進んでいる」という主張を繰り返している。一方,海外での変革は急ピッチで進んでおり,このままでは日本が「ウサギと亀」のウサギになりかねない,と危惧している。その先にあるのは,太陽光発電や風力発電の導入で欧米に大幅に遅れを取り,市場ばかりか技術の優位性までも失う,携帯電話事業などと同じパターンの繰り返しか。あるいは通信事業で起こったような,「日本の電力網はコスト高」という大義名分付きの,海外からの電力事業参入を迫る外圧による「ハード・ランディング」か。そろそろこの受け身のワン・パターンから脱却してほしいのだが。