通信や放送技術やその機器に関する最新情報を伝えるテーマサイト「通信」で,2009年にもっとも多く読まれた記事10本を紹介する。10本のうち7本を占めたのが,ソーラー・ケータイや11.9mm厚の薄いケータイ,防水ケータイ,iPhone 3G Sなどいずれも「キャラが立った」携帯端末に関する記事だった。残り3本は,スマートメーターに関する記事とUSB3.0に関する記事である。
▼ 2009年「通信」記事ランキング
このランキングからは漏れたが,11位に入ったのは,ディスプレイと通信機能の本体を分けてBluetoothでつないだNTTドコモの「セパレート・ケータイ」に関する記事だった。iPhoneなどの「黒船」襲来に目覚めたのか,日本で長く続いた,多機能だが無個性の携帯電話機ばかりの時代から,ようやく個性を主張する携帯電話機やスマートフォンの時代に入りつつあるようだ。ただ,iPhoneに続いて格安のAndroidケータイやGoogleケータイといった黒船の第2波,第3波が次々に到達しつつあり,狭いながらも快適だった「ガラパゴス市場」は風前の灯と言える状況である。
ランキングに2本入った,スマートメーターの記事は,海外で先行しつつある「通信技術と電力網の融合」という大変革の一部が日本にも入り込んできたもの。日本の電力会社は「我々の電力網は,米国などに比べればずっと進んでいる」という主張を繰り返している。一方,海外での変革は急ピッチで進んでおり,このままでは日本が「ウサギと亀」のウサギになりかねない,と危惧している。その先にあるのは,太陽光発電や風力発電の導入で欧米に大幅に遅れを取り,市場ばかりか技術の優位性までも失う,携帯電話事業などと同じパターンの繰り返しか。あるいは通信事業で起こったような,「日本の電力網はコスト高」という大義名分付きの,海外からの電力事業参入を迫る外圧による「ハード・ランディング」か。そろそろこの受け身のワン・パターンから脱却してほしいのだが。