東レは,バーレンとスペインの海水淡水化プラント向けに,逆浸透膜を納入する契約を結んだ。両プラントの造水量を合計すると31.7万m3/日に達する。逆浸透膜の市場は,世界的な水不足と環境に配慮した水資源確保の要請から,12%/年以上で拡大を続けている。特に海水淡水化用途では大型プラントが増加する傾向にあることから,成長率は30%/年に達しているという。

 今回受注したのは,バーレンのアル・ドゥール海水淡水化プラント(2011年稼働予定)と,スペインのカルポ・デ・ダリアス海水淡水化プラント(2010年稼働予定)で,造水量は順に21.8万m3/日,9.9万m3/日。

 アル・ドゥール海水淡水化プラントは,仏GDFスエズ社がバーレンの水電力庁と20年間にわたる水・電力供給契約を結んでバーレン南部で展開中のアル・ドゥール独立淡水化・発電事業(IWPP)の主要設備の一つ。東レとしては同国の大型海水淡水化プラントへの納入は初めてとなる。カルポ・デ・ダリアス海水淡水化プラントは,スペイン南部アルメリア地方の大型プラントで,UTEコンソーシアムが15年間のDBO(設計・建設・運転)契約を受注している。同国の海水淡水化プラントには多くの東レ製逆浸透膜が採用されているが,今回のものは最大規模という。

 こうした需要増に対して東レは,2008年度までに既存の愛媛工場と米トーレ・メンブレン・USA社の工場で,逆浸透膜の生産設備増強を実施した。さらに中国藍星(集団)との合弁により,2010年4月の稼働予定で北京市に工場建設を進めている。