カネカは,2010年1月21日納入分から塩化ビニル(PVC)の販売価格を上げると発表した。値上げ幅は,20円/kg。汎用PVCのほか,塩ビペースト樹脂,架橋塩ビ,酢ビコポリマ,塩素化塩ビなどが対象になる。

 同社によれば,2008年の金融危機以降に急落した原油・ナフサ価格は,その後反転し,2010年第1四半期の国産ナフサ価格は,4万7000~5万円/kLの水準まで上昇する見込み。さらに,PVCの原料となる二塩化エチレン(EDC)の輸入価格も急上昇している上,ユーティリティコストなどの上昇もあって,同社の収益は圧迫されているという。

 同社は金融危機以降,回復の足取りの鈍い国内需要に対応すべく,約4万t/年の設備休止やコストダウンなどに取り組んできた。しかし,原料価格が上昇傾向を示す中,自助努力だけでそれを吸収していくことは難しくなっており,事業存続のためには不採算の状況をこれ以上許容するわけにはいかないとの判断から今回の値上げを決めた。