Google社CFOのPatrick Pichette氏
Google社CFOのPatrick Pichette氏
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 グーグルが同社サービスに広告を出している顧客向けに開催した「Google Business Day」で,米Google Inc.のCFOであるPatrick Pichette氏が登壇し,「検索キーワードから見ると,世界の景気は底を脱しつつある」と語った。

 同氏は「Think Infinite」と題した講演で,インターネットの将来の方向を「Google社の信念(belief)」として紹介した。まず最初に挙げたのが,“Everything was Offline is now Online”である。つまり,すべてのものがオンライン化されていくということだ。本やビデオ,音楽,地図などさまざまなものがオンライン化されている。すでに同社は1000万冊の書籍のインデクスを作成済みであるという。「オンライン広告の量は全体の10%に過ぎない。オンライン化された情報量に比して少なすぎる」(Pichette氏)と,同社サービスへの広告掲載を呼びかけた。

 次に挙げたのが“Living in the Cloud”である。ローカルのコンピュータに置いておくデータやプログラムが,次第にインターネット上のクラウド環境へ移行していく動きを示した。「最近当社の幹部が空港でノート・パソコンを失くしたが,誰も騒がなかった。中に重要なデータが入っていないから,大きな問題にならない」(Pichette氏)。プログラムの例としては,Google社が提供する翻訳サービスを挙げた。これは51カ国語に対応しており,「こうしたサービスを実現出来るのはクラウド環境のスケーラビリティーの高さによる」(Pichette氏)と説明した。こうした環境下では,「Chrome OSのようなWebベースのOSが,2~4年後に重要な部分になってくる」(Pichette氏)。

 クラウド・コンピューティングの威力として3番目に提示したのが“Innovation is Cheap”。米Apple Inc.,米Hewlett-Packard Co.,Google社がいずれもガレージから出発したことを挙げ,デジタル化がイノベーションを安価で実現できることを示したうえで,「クラウド化によって,それをさらに安価にできるようになった。Google AppEngineや米Amazon.com社のEC2を使うことによって,ハードウエアのコストをかけずにサービスを実現出来る。しかも最初から世界を相手にできる」(Pichette氏)。

 4番目の信念が“Everything localized down to you”である。主たるネットワークへアクセスする機器がパソコンではなく,携帯電話機へとシフトしていく。「10年以内にすべての情報アクセスは携帯電話機からになるだろう」(Pichette氏)。ここまで挙げた信念は,Google社が提供してきたさまざまなサービスやOSなどと非常に合致している。

 このほかに“Search is Personal”,“All Marketing is Digital”という二つの信念も挙げていた。

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記事掲載当初,講演のタイトルを誤って記述していました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。