図◎左は「ヴェルデナイト式植物工場」による栽培風景,右は収穫されたラディッシュ。
図◎左は「ヴェルデナイト式植物工場」による栽培風景,右は収穫されたラディッシュ。
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 丸紅は,肥料や水分の保持力に優れた軽量の有機人工土壌「ヴェルデナイト」を用いた土耕式植物工場システム「ヴェルデナイト式植物工場システム」の販売を開始した。ヴェルデナイトは,アグリベンチャー企業のヴェルデ(神奈川県厚木市)が開発した,コケの一種であるピートモスに粘土物質をコーティングした特殊な土壌。肥料・水分保持能力は園芸用培土の10倍に達しながら,質量は1/10以下と軽い。同システムでは,空きビルや倉庫などの閉鎖空間に人工照明付きの多段式栽培棚を設置することで,季節を問わずに,無農薬・有機肥料で野菜の促進栽培を可能にする。

 従来の水耕方式は,収穫物がサニーレタスなど葉野菜類に限定されていた。これに対し同システムでは土耕方式を採用し,水耕方式では難しかったナスなどの果菜類やゴボウ・大根といった根菜類など多品目の作物栽培が可能となる。これにより,将来的には生薬などの有用植物の安定生産拠点としての活用が期待される。

 国内では,消費地に近接する空きビルや倉庫などの遊休施設を保有する企業やビルオーナーに対しては安全な野菜の栽培事業拠点として,季節ごとに産地を変えて安定的な野菜調達を行う食品加工会社や外食産業に対しては定品質・定価格の野菜供給拠点としての販売が見込まれる。一方,海外では,シンガポールをはじめ農地確保が難しい国での安定生産拠点としての販売を計画している。既に,水資源の乏しい中東諸国から具体的な引き合いがあるという。初年度の販売目標は1億円,5年後には40億円を目指す。