組み込みLinuxのMontaVista社が身売り,Cavium社が約50億円で買収もブランド名は存続
組み込みLinuxを手掛ける米MontaVista Software, Inc.が,買収されることとなった。通信機器向けのマイクロプロセサなどを手掛ける米Cavium Networks社が5000万米ドル(約50億円)で買収する(発表資料)。買収後も「MontaVista」のブランド名は残し,Cavium社のマイクロプロセサ事業とは独立した組織として運営していく。ARM系やMIPS系など各種アーキテクチャ向けの対応についても,開発やサポートを継続する。
買収額の約50億円のうち,16億円分を現金で支払い,残りの34億円分については株式交換を行う。2009年12月までに買収が完了する見込みという。
プリエンプティブル・カーネルの開発企業
MontaVista社は,組み込みLinuxのパイオニア的な企業だった。組み込み分野においてOSの応答性を高めるために必須となる「プリエンプティブル・カーネル(preemptible kernel)」を世界に先駆けて開発し,それまでサーバーやデスクトップ向けなどが中心だったLinuxを,組み込み分野に応用する道を切り開いた。
Linuxカーネルをプリエンプティブル化するには,一般には多大な修正を必要とするが,同社はSMP版のLinuxカーネルをシングルコア向けのカーネルに応用することで,これを実現した。もともとマルチプロセサ向けのSMP版カーネルでは,スピン・ロックを用いたOS内部のクリティカル・リージョンの排他制御,およびクリティカル・リージョンの短縮が既になされていた。この排他制御の成果を,シングルコア向けLinuxカーネルをプリエンプティブル化するために利用したわけだ(日経エレクトロニクス関連記事)。
さらに同社は2004年には,Linuxカーネルのスピン・ロックを優先度継承付きのミューテックスに置き換え,数10μsの応答性を実現するなど(Tech-On!関連記事01,同02,同03),常に組み込みLinuxの技術を先導してきた。
国内では,ソニーやパナソニックらが「CE Linux Forum(CELF)」を設立し,組み込みLinuxのデジタル家電向けの改良に取り組んできたが,その改良の基盤となっているのもMontaVista社のLinuxカーネルだった。
ただし,MontaVista社の技術的な功績の一方で,2005〜2006年にかけては,一部の有力エンジニアが離脱して,組み込みLinuxのコンサルティングを手掛ける米Embedded Alley Solutions, Inc.を設立・参画するなど,人材の流出が相次いだ(日経エレクトロニクス関連記事)。そのEmbedded Alley社も2009年7月には,EDAベンダー大手の米Mentor Graphics Corp.に買収されている(Tech-On!関連記事04)。














