図1 2009年度第2四半期の決算を発表するソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏
図1 2009年度第2四半期の決算を発表するソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏
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図2 2009年度上期の連結業績の概要
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図3 1契約当たりの通信料収入(ARPU)の推移
図3 1契約当たりの通信料収入(ARPU)の推移
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図4 設備投資金額を400億円増額する
図4 設備投資金額を400億円増額する
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図5 「2009年度からの3年間でフリーキャッシュフローを1兆円創出する」という目標の達成に自信を示した
図5 「2009年度からの3年間でフリーキャッシュフローを1兆円創出する」という目標の達成に自信を示した
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 ソフトバンクは2009年10月29日に,2009年度第2四半期(同年4月1日~9月30日)の連結決算を発表した(図1)。売上高は6829億円(前年度同期比0.1%増)で,営業利益は1223億円(同28.8%増)と,増収増益となった。2009年度上期では,売上高が1兆3492億円(前年度同期比1.5%増)で,営業利益が2306億円(同28.1%増)だった(図2)。営業利益については,四半期と半期の両方で過去最高を更新した(PDF形式の発表資料)。

 好調な決算をけん引したのは移動体通信事業である。上期の移動体通信事業は,売上高が8274億円(前年同期比7.4%増),営業利益が1317億円(同49.4%増)と,連結決算の大部分を占めた。契約数が増加するとともに,1契約当たりの現金収入を維持したことで総現金収入が増加したのが主因である。1契約当たりの通信料収入(ARPU)は,2四半期連続で前の四半期を上回った。「基本使用料が低い『ホワイトプラン』を導入してから,ARPUはずっと下がってきた。それがついに反転した」(ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏,図3

 ARPUの反転にはデータ通信料収入の増加が貢献した。「『iPhone』は毎月,『前年同月比何百%増』という水準で売れている。我々が想定していた以上の売れ行きだ」(孫氏)という。iPhone利用者のデータ通信料は他の端末利用者のそれよりも高く,iPhoneのようなインターネット利用に適した端末が増えることで,今後もデータ通信料収入が増えていくとの見方を示した。データ通信料の2段階定額制プランに加入するユーザーの増加や,2段階定額制で上限まで利用するユーザーの増加が,データ通信料収入の増加につながるという。

 2009年度の設備投資金額を400億円増額し,2600億円にすることも発表した(図4)。iPhoneが想定以上に売れて通信トラフィックが増えたことと,新たに1.5GHz帯の認可を得たことに対応するためである。1.5GHz帯については,データ通信のトラフィックを吸収することを目的とし,2010年前半にDC-HSDPAを導入する計画である。「2010年以降に登場する端末のほとんどは,1.5GHz帯のサービスに対応したチップやアンテナを搭載したものになる」(孫氏)。1.5GHz帯のネットワーク構築のため,2010年度の設備投資額は2009年度の2600億円よりも増える見通しだ。

 今回の決算でソフトバンクは,2009年度通期のフリーキャッシュフローの予想を3000億円に上方修正した(2009年度上期実績は1770億円)。従来の予想では2500億円だった。「『2009年度から3年間で1兆円前後のフリーキャッシュフローを創出する』という目標を掲げてきたが,米Yahoo! Inc.からの1000億円を考慮すれば,仮に横ばいであっても毎年3000億円で1兆円を達成できる。今後は『3年間で1兆円以上』と言っていく」(孫氏,図5)。