欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間2009年10月7日,米MicrosoftのパソコンOSとWebブラウザの抱き合わせ販売が欧州の競争法違反にあたるとされる問題を巡り,Microsoftが提出した改善案について,意見の公募を行う方針を明らかにした。消費者,コンピュータ・メーカー,ソフトウエア会社などから広くコメントを募る。10月9日にEUの官報で正式に告知する。

 ECは2009年1月,MicrosoftのWindowsがInternet Explorer(IE)をバンドルしていることに関して競争法違反の疑いがあるとして異議声明(Statement of Objections)を送っていた(関連記事:ECがMicrosoftに異議声明,「WindowsとIEの抱き合わせは競争法違反」)。Microsoftはこれに対し6月,欧州向けのWindows 7ではIEをバンドルしないことを表明したが,ECはアンバンドルだけでは不十分として厳しい姿勢を示していた(関連記事:Microsoftの「ブラウザなしのWindows」計画に,ECが依然厳しい姿勢)。そこでMicrosoftは7月,ブラウザ選択画面を設けることを提案した(関連記事:Microsoftが欧州でWindows 7に「ブラウザ選択画面」,ECが歓迎の声明)。

 選択画面では,ユーザーは使いたいWebブラウザを1つあるいは複数選んでインストールすることができる。ECは夏の間,この提案を非公式にテストし,見直すべき点をMicrosoftに伝え,同社はそれに応じた。

 またWindows 7を含む将来版OSでは,パソコン・メーカーはIE以外のWebブラウザをデフォルト・ブラウザとして設定することができる。MicrosoftはIEをデフォルト・ブラウザにしないパソコン・メーカーを差別したり,IE以外のブラウザを実装することを妨害してはならない。

 今回ECは,「Microsoftの改善案は,消費者にWebブラウザの自由で効果的な選択肢を与えるという原則を認識している」として,正式に市場テストする準備が整ったと判断した。

 MicrosoftはECの発表を受け,「ECの判断を歓迎する」との声明を同日発表した。

[発表資料(ECのプレス・リリース1)]
[発表資料(ECのプレス・リリース2)]
[発表資料(Microsoftのプレス・リリース)]