スウェーデンの王立科学アカデミーは2009年10月6日,2009年のノーベル物理学賞の選考結果を発表した。受賞者は,現在,米ITX Services社のChairman兼CEOのCharles Kuen Kao氏,米Bell Laboratories社のWillard Sterling Boyle氏,同George Elwood Smith氏の3人。受賞理由は,Kao氏による低損失の光ファイバの提案(1966年),およびBoyle氏とSmith氏のCCDイメージ・センサの開発(1969年)である。基本的に独立な二つの技術開発で二組の受賞者が出たことになる。

 光ファイバについては,東北大学 名誉教授の西澤潤一氏が1964年に光ファイバの中心から屈折率を段階的に小さくする光ファイバの概念を発表した。今回,受賞したKao氏は,光ファイバのガラスの不純物が光の損失に大きく関係していると主張。1970年,米Corning社が,Kao氏の論文に基づき実際に,20dB/kmと低損失の光ファイバを開発した。

 光ファイバの発見者にノーベル賞が贈られる可能性は以前から指摘されており,西澤氏も下馬評には上がっていた。