図1 記録層が2層の光ディスクのL1相当層(左)と今回開発した10層品のL9相当層(右)の比較
図1 記録層が2層の光ディスクのL1相当層(左)と今回開発した10層品のL9相当層(右)の比較
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図2 開発品の記録特性
図2 開発品の記録特性
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 TDKは,1枚当たりの記録容量が320Gバイトの追記型光ディスク媒体を開発した。記録層は10層で,1層当たり記録容量は32Gバイト。1層当たり記録容量が25GバイトのBlu-ray Discに比べ大容量ながらも,Blu-ray Discと同じ発振波長405nmの青紫色半導体レーザと開口数(NA)が0.85の対物レンズを使用して記録再生できる点を特徴とする。

 同社は2006年に,1層当たりの容量が33.3Gバイトの記録層を6層重ねた200Gバイトの追記型媒体を試作している( Tech-On! 関連記事)。今回は,記録層の数を増やして記録容量を高めた。記録面を多層化すると各記録層の信号が微弱になるため,透過率を高める必要があったが,「構成する材料の組成を再調整することで高い透過率を達成した」(同社)という。最も高い透過率が求められる最上層では,「90%以上」を実現した(図1)。2006年の開発品では80%台だった。

 ディスクの層構造は以下の通り。最下層のL0層から最上層のL9層までの記録層を形成し,その上にカバー層と,キズや汚れを防ぐハード・コート層を重ねている。L0層はSi層-Cu合金層の無機材料を使用。L1~L9層では,過酸化ビスマスと酸化ゲルマニウムで構成する無機材料を用いて記録マークを担持する。酸化ゲルマニウムは含有濃度を変えることで記録層の透過率を変えられる特性がある。この他に光学的な性質を調整したり,熱によるダメージを緩和したりする材料を積層した。

 シンボル誤り率は「実用化の一つの目安である10-4以下」(同社)を達成している(図2)。記録時の膜面上のレーザ光の出力はすべての層で「現在,一般に販売されている青紫色レーザの出力の上限である30mW以下に抑えることができた」(同社)。

 なお,TDKは開発品を2009年10月6~10日に幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2009」で展示する予定である。