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(左から)山科チーム代表、Timo Glock選手、小林可夢偉選手
(左から)山科チーム代表、Timo Glock選手、小林可夢偉選手
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 パナソニック・トヨタ・レーシングは2009年9月29日、F1日本グランプリ直前記者会見を開催した。会見には、TMG(Toyota Motorsports GmbH)会長兼チーム代表の山科忠氏、ドライバーのTimo Glock選手、サードドライバーの小林可夢偉選手の3人が参加。Jarno Trulli選手は、前戦のシンガポールGP前の25日から出ていた熱が下がらず、シンガポールからの移動を延期したため、会見には参加しなかった。

 今季のトヨタチームは、期待されていた「優勝」はなかったものの、序盤戦はリアのダブルディフューザによりダウンフォースとドラッグ(空気抵抗)の効率が良く好調だった。しかし欧州ラウンドに入り、他のチームも同様のディフューザを投入し始めると苦戦。そのあとチームは日本GPに焦点を当てて開発を進め、シンガポールGPで新しいパーツをいくつか前倒しで投入し、Glock選手が2位という好成績を収めた。山科氏は、「英国GPから比べるとどのチームよりも向上させたと思う」とし、日本GPに向けてアップデートしたクルマは「今年一番の自信作」という。チームは、シンガポールGPの勢いを持続し、ホームとなる日本GPで表彰台獲得を狙う。

 山科氏は鈴鹿サーキットについて「適度なダウンフォースと適度なドラッグの少なさが求められる効率重視のサーキット」という。日本GP向けのパッケージは、ドラッグが少ないわりに、ある程度のダウンフォースが出るような効率の良い仕様を目指した。

 「通常、ダウンフォースはリアウイングで向上できるが、ドラッグも増える。そのため、リアのフロア周りを大幅に改善した。フロアだけでなくリアのサスペンション周り、リアホイールの内側に付いている小さなウイングなども改良した。ダウンフォースは前後のウイングとフロアで作り出すため、前後のウイングも細かい点で改良している。これにより、全体のダウンフォースを上げつつ、ドラッグはそこそこに抑えた仕様ができた。ドイツのファクトリーで昨日までに仕上がったパーツもあり、今夜か明日の便で送ってもらう」(山科氏)。また、両ドライバーとも日本GPでは新しいエンジンを使う。エンジンは組み付けによって微妙に差が出るため、今回は何度か組み直して最も良い出来上がり状態になったものを投入するとした。

 日本GPの天気予報は、テスト走行日の金曜日は雨、予選の土曜日と決勝の日曜日も雨の可能性があるという。これを踏まえて「チームとしては、ドライの状態でのクルマの性能とドライバーの技量で戦いたいと思っているが、雨が降るとタイヤ選択とピットストップのタイミングが良かったチームが上位になるということも考えられる。クルマは改善した。あとはドライバーに『しっかり頑張れ』というしかない。両ドライバーは日本GPがどれだけ重要なレースか認識している。クルマもドライバーも信じているので、良いレースができると思っている」とした。