協和電線は2009年9月25日,200℃の高温環境下でも硫化防止機能を維持するAgめっき「anga(アンガー)」を開発した(発表資料)。銀めっきは硫化に弱く,従来の硫化防止処理では20~30℃の常温域でしか性能を確保できなかった。サンプルは既に出荷中で,2009年10月1日より販売を開始する。2009年度下期に1000万円,2010年度に1億円の売り上げを目指す。

 従来の方法で課題となっていた,耐熱性の問題を解決した。銀めっきは硫化すると黒く変色し,電気伝導度や接触抵抗といった電気特性が落ちる。コンデンサやスイッチなどの電子部品には,銀めっき処理を施した部品が多く使われている。「製造の最終工程で構成部品を樹脂でモールドするが,その際の温度は150~200℃に達する」(同社 営業技術部 部長の杉江欣也氏)。そのため,高温条件下でも硫化防止機能を有するAgめっきが求められていた。

 同社は詳細を明かさないが,「電気めっきの処理中にある物質を添加する」(同社 機能性めっき部 部長の墨谷義則氏)ことで耐熱性を200℃まで向上したとする。表面のめっき自体は他の元素と合成しておらず,Ag単体であるという。今回開発した技術は,現在特許出願中である。