帝人松山事業所 実証プラント外観
帝人松山事業所 実証プラント外観
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 帝人は,耐熱性の高いバイオプラスチック(ポリ乳酸)である「バイオフロント」の実証プラントの稼働を開始した。同プラントは,2008年6月にトヨタ自動車から譲り受けたポリ乳酸の実証プラントを帝人の松山事業所(松山市)内に移設/改造し,さらに耐熱工程を追加したものである。これにより,従来は200t/年規模だったバイオフロントの生産能力が約1000t/年規模に拡大可能となる。

 ポリ乳酸には,L体とD体という2種類の光学異性体が存在する。これらを対にした結晶構造とすることで,融点や耐熱性を高めたのがバイオフロントだ。バイオフロントの融点は210℃で,一般的なポリ乳酸より40℃高い。従来のポリ乳酸の課題であった耐加水分解性についても,石油由来のプラスチックと同じレベルまで向上させる技術の開発に成功している。

 帝人は,今回稼働を開始した実証プラントをスケールアップすることなどにより,2011年度には5000t/年規模でのバイオフロントの量産体制構築を目指す。将来的には数万t/年規模の増設も視野に入れているという。