OKI(沖電気工業)のグループ会社,沖電気ネットワークインテグレーションは,センサ・ネットワークを使って使用電力量や温湿度を計測し,データを収集,インターネットを介して集計データを表示,ダウンロードするシステム「Webセンシング」のサービスを2009年9月17日に開始すると発表した。特に,2010年4月に施行される改正省エネ法に向けたサービスで,複数の店舗や営業拠点などのエネルギー使用量を一括して把握できる。
基本的な仕組みは以下の通り。電力や温湿度などのセンサからのデータは,特定小電力無線方式の無線端末を介してゲートウエイ装置(データ収集装置)に集め,インターネットで沖電気ネットワークインテグレーションの環境情報収集サーバに集約する。集約したデータは,グラフや表計算ソフトウエア向けのCSV形式のデータとして出力できる。
同社が強調するのが,使用電力量を見えるようにするだけでなく,ユーザーの省エネ活動につなげる「見せる化」への取り組みだ。例えば,アプリケーション・ソフトウエアとして用意する「オフィス環境モニター」では,電力量だけでなく温度や湿度を測定し,さらに人の着衣量や活動量などを考慮して算出する快適性指標(PMV,-3~+3の7段階)を示すことで,ユーザーが省エネ活動するように促すことができるとする。同社内では,こうした見せる化の取り組みにより,別の対策を導入することなく,各個人の意識による運用だけで10%強,消費電力を削減できたという。このほか,ユーザーが設定したしきい値を超えた場合に警告メールを送信するサービスなども用意する。
OKIは従来,センサ・ネットワークの開発に力を入れてきた。今回のシステムと似た「流通店舗向け省エネシステム」の研究開発は,2008年9月に「グリーンITアワード2008 審査員特別賞」を受賞している。この際は,データを通信する方式としてZigBeeを採用していた。今回の製品では無線方式として特定小電力無線を採用し,無線端末自体も他社製品を採用したという。できるだけ一般的な機器を採用することで,コストを抑えることが目的だったようだ。
センサについても,一般的な機器の活用を狙う。電力や温湿度だけでなく,風量,CO2など,さまざまな環境測定用のセンサと組み合わせて利用することを想定する。同社が受け持つのはシステム全体で,センサは各種センサ・メーカーとの提携を検討しており「我々のシステムをプラットフォームとして使いたいというセンサ・メーカーが出てくることを期待している」(同社)とする。現在,4~5社のセンサ・メーカーから声が掛かっているという。
最小構成は温湿度センサ1台,電力計3台とガス計1台,無線端末4台とゲートウエイ装置で,サービス利用料は月額4900円から。初期費用は個別に対応する。販売目標は企業間での提携なども含めて,今後3年間で12億円とする。
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