半導体関連の市場調査を手掛ける米IC Insights, Inc.は,NANDフラッシュ・メモリ市場は価格上昇局面を迎えるとの予測を発表した(発表資料)。需要が伸びる中でメーカー各社が設備投資を絞り込んでいるため,需給が逼迫し,2012年までは平均販売価格の上昇傾向が続くとIC Insights社は予測した。

 IC Insights社がNANDフラッシュ・メモリに関する市場調査を始めた1993年以降,NANDフラッシュ・メモリの出荷個数が前年実績を割り込んだのは2001年の一度だけだという。今後も2013年まで出荷個数は右肩上がりに伸びると同社は予測。世界経済が冷え込んでいる2009年も例外ではないとする。

 出荷容量も大幅な成長が続く見通し。世界不況の2009年でさえ,前年比83%増を見込む。韓国Samsung Electronics Co., Ltd.や米Micron Technology, Inc.ら主要メーカーの多くが,2013年まで出荷量を前年の2倍に増やしていく計画という。

 ところが,NANDフラッシュ・メモリへの設備投資は減少傾向にある。2008年は前年比18%減の111億米ドル。2009年はさらに73%減の30億米ドルまで落ち込む見込み。2010年に関しても,大型の投資案件は発表されていない。投資から実際の生産能力の増強まではタイムラグがあるため,現在の需要増と投資減を考え合わせれば,2012年ごろまでは需給が逼迫するはずとIC Insights社はみている。