7月下旬に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたEDA業界で最大のイベントである46th Design Automation Conference(DAC 2009)。EDAの作り手側から使い手側に魅力ある内容へと脱皮を図り,前評判は悪くはなかった。しかし,使い手側である半導体の不況の影響を受けて,参加者数は今一歩という状況だった。それでも,新規出展社/機関は29あり,EDA業界にはまだまだ成長の余地はありそうだ。

北側の展示会場の入り口 DAC実行委員会の提供写真。
展示会場(北側)の入り口
DAC実行委員会の提供写真。
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CEOパネル DAC実行委員会の提供写真。
CEOパネル
DAC実行委員会の提供写真。
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 前回の45th DACが開かれた2008年6月は,いわゆるリーマン・ショックが起こる前だった。しかし,人気のないアナハイムでの開催だったことや,米Cadence Design Systems, Inc.が展示会にブースを構えなかったことなどが災いし,参加者数や出展社数が前年に比べて減少した(Tech-On!関連記事1)。今年はEDAベンダーやユーザーの多いシリコンバレーに近いサンフランシスコでの開催だったことや,Cadenceが展示会やCEOパネルに復帰したことなど,前回のマイナス・ポイントがなくなった。

 しかし,100年に一度という不況には勝てなかった。発表された来場者数は5299人(展示会のみの3337人+学会(チュートリアルとワークショップを含む)参加の1962人),展示ブースのスタッフの2967人と合わせた総参加者数は7996人で,前回の45th DACの7770人を3%上回るに止まった(ニュース・リリース1:PDF)。

 来場者数は前回比で10%以上伸びたが,スタッフ数が減って総参加者数は3%の伸びにとどまった。スタッフ数が減ったのは,出展社数が215から202に減少したのに加えて,多くの出展社がブースを小さくしたためだろう。かつては展示会場を一回りするだけでもかなり疲れたものだが,今回はあっと言う間に端から端までたどり着いてしまう感じだった。

 なお,この前にサンフランシスコで開催された43rd DACの結果と比べると,今回の状況はもっと鮮明になる。43rd DACの来場者数は6875人,総参加者数は1万1952人,出展社数は250だった(Tech-On!関連記事2)。これらと比べて,今回,来場者数は23%,総参加者数は33%,出展社数は19%それぞれ減少した。43rd DACでは,会場とCaltrainの駅間にバス便が用意されたが,今回はそれもなかった。

 国や地域別の来場者数や参加者数は発表になっていないが,今回,日本からの参加者は大幅に減少したようだ。ある米国EDAベンダーの日本法人のスタッフは,「日本人のブース来訪者は前回の1/4になってしまった」と肩を落としていた。実際,ある国内半導体メーカーの米国法人のエンジニアは「今年は日本からの参加者は基本的にゼロ。こちら(米国法人)の社員だけしか参加していない」という。また,日本からの顧客の参加が見込めないことから,日本法人からの出張者がゼロという米国EDAベンダーもあった。