世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は,中国政府が映画や音楽の流通に制限を加え,WTOの諸協定に違反しているとする米国の主張を支持する報告書を,スイスで現地時間2009年8月12日に発表した。

 米国がこの問題で協議を要請したのは2007年4月。中国政府が劇場用映画,家庭用DVD,音楽CDや書籍を輸入する権利を国有企業や政府指定の企業に限定しているほか,配給や販売についても制限を加え,外国企業を差別していると申し立てていた。欧州連合(EU)の欧州諸共同体も米国の訴えに参加している。

 パネルは今回の報告書で,米国の主張の一部を認めるという判断を示し,中国に当該協定に準じる方針をとるよう要請することを,紛争解決機関に勧告した。

 パネルの発表を受けて米通商代表部のRon Kirk代表は同日,「米国の創造的産業の大きな勝利だ」とのコメントを出した。「中国市場において米国の正当な商品が販売され,米国企業によって流通するようになるための重要な一歩だ」(同氏)

 中国メディアの報道(新華社新華網)によると,中国商務部はパネルの報告書を慎重に調査するとし,控訴する可能性を残した。また,「中国は海外の出版物,映画,音楽商品に対して十分な市場を提供してきており,すべての方針はWTOの規定に準拠している」と述べているという。

[WTOのプレス・リリース]
[WTOの報告書(PDF文書)]
[米通商代表部のコメント]